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くろぎ

くろぎ

星2つ半が平均

日本を代表するくろぎ。最良の素材を自然に彩る業で魅せる料理店

2008年オープン、2017年移転。A6出口から3分程。都内ではその名を知らない人はいないとまで言われるくろぎ。

大将は黒木純氏。
有名すぎて語ることが少ないですが、京味系譜の筆頭、テレビ出演から顔が知られ知名度も大変高い方です。
現在は東京大学内に和カフェ・廚菓子くろぎを、最近ではギンザシックスにスペシャリテがいただけるくろぎ茶々をオープン。
名店クラスでは数少ない異なる形で店舗展開を行うお店です。

前身「湯島121」から始まったのは2008年、その後「くろぎ」に改名。
予約の取れない日本料理店として名が定着していましたが、2017年3月に大門に移転。
席数を減らし、お昼の鯛茶漬けランチを廃止し昼と夜同じメニューを提供するようになりました。

今回はそんな素敵な席にお呼び頂き平日のお昼に初訪問してきました。
場所は芝大門の交差点を曲がった、なんと大通り沿い。
外観の黒塀には黒に身を包んだスタッフが外でお客様の訪問を迎えていらっしゃいました。

お席は2階と3階にあり、各エレベーターで向かいます。
店内は外光が店内を明るく包み込む、和モダン。
外に映える木々へのアイレベルでここが上階であることを認識づけ、窓越しに見える風景がモダンベースの和モダンの色濃くしていました。
L字カウンターは真新しい一枚木の柔かな手触りで板場と隔てるラインに沿って水が流れ、斜光でキラキラ輝いていました。

程なくして黒木氏がいらっしゃいました。
話しやすくフレンドリー、そしてお写真とテレビで見ていた通り勇壮な方。
あまり日本だと良く捉えられないのですが、いい意味でアグレッシブさがある一方で厚みもある濃さを感じさせます。

最初は何となく師匠の京味さんのイメージで伺いましたが、お味はくろぎだけの世界でした。
濃い、薄い、インパクト、艶やかさ、そういう一点に絞られるステージにはない格のある日本料理店。
強烈な個性で演出するわけではなく、バランス感覚、質の良さ、謎かけをすることもなくですが絶妙な所に着地点を設けています。

お値段はします、ですが細かいな所にも素材に拘り予想外の贅沢さが隠されていました。
そしてグッと惹きつける大将の魅力。
その深さをもっと知りたいのですが・・・・・ここに難所がありました。
やはり京味ご出身、ご予約は2人からでした・・・・・
ですので、次回はそう言った意味で取ることは出来ませんでした。
ですが、伺えたことにとても満足。

力強く真っすぐにどれにも傾倒しない卓越したバランス感覚とブランド負けしない素材達が合わさる、ここに「くろぎ」有と印象深く刻まれた昼の一時は下記です。


◆先付け 白アスパラ・新じゃが擦り流し

白アスパラと新じゃがを擦り流し、ジュンサイ、宮崎県産キャビアを乗せ、岩梨を散らし、鯛の煮凝りをかけた一皿

中心に見えるややピンクがかったものが岩梨
ツツジ科の植物で岩梨の実は珍しく貴重、主にあしらい向きとされていますが私は初めて見ました

滑らかな擦り流しで、新じゃがの甘さと風味が良く出ていています
そこを鯛の煮凝りが味わい深いものにしていき、じゃがいもと鯛はこんなにも寄り添えるのかと驚く一体感
塩分も丁度良く、優し過ぎずですがもちろん濃くはないその均衡が保たれたお味に最初から引き寄せられます
美味しさと共に伺って良かったと思える先付け

◆自家製胡麻豆腐陶板焼き

高温に熱せられた陶板の上に焼き自家製胡麻豆腐

山葵は横に仮置きし、胡麻豆腐は割きながらいただきます

じゅうじゅうと音を立てる板の上で、更に焼き色がついてゆく胡麻豆腐
熱々とろとろの胡麻のコクと柔かさがじんわり広がります
美味しさと能動的な楽しさを合わせた一皿

◆鯛素麺と新茶素麺・雲丹二種がけ

左に鯛素麺、右に新茶素麺、その上にたっぷりの北海道と青森の雲丹、叩いたオクラを乗せています

関西では鱧素麺が主流とされているらしいのですが、当店は鯛で表現

鯛の前に出来過ぎないお味と爽やかな新茶素麺、そこに風味と口溶け、濃厚さとそれに比べると退きが綺麗な異なる二種の雲丹が合わさります
漂う酢橘の香りに合わせて、贅沢にいただきました

◆久世茄子、明石蛸

旬の明石蛸の桜煮と共に京都の久世茄子を一度皮ごと揚げてその後炊いたものを合わせ、木の芽を添えて
蛸は黒七味をつけていただきます

蛸は押し返す弾力が強く、茄子も弱すぎない適度な食感を残していました
偶に濃すぎてしまう組合せもありますが、当店は塩味も丁度良かったです

◆伊勢海老

いすみ市大原の伊勢海老
洗いも海水で行い、大将自らが豪快に目の前で捌いてリアルを皆様と共有します

お皿として完成された伊勢海老は、少し揚げて甘味を凝縮したもの
かけるのは味噌とみりん、しょうゆを合わせた餡、手前の生姜をつけていただきます

ぷりぷりでぎゅっと身が締まっているので剥がすことができないのでそのままで一気に
甘さのあるタレと相性良くいただきました

◆鱧の焼き霜造り

皮目だけ軽く炙った鱧、原産地は韓国
酢味噌か醤油でいただきます

いただくとそのふわふわした口当たりはかつてない衝撃
鱧はこんなにもふんわりと咲く様に広がるのかとどうなっているのか最初はよく分からない程でした

この時は黒木大将が鱧捌き屈指の腕前ということは忘れていたのですが、それによりこの一驚が正直なものであるという裏付けでもありました

私は今まで鱧=淡路の印象がありましたが、韓国の鱧はお味が濃く、甘みもあり
お造りにしてその存在感が際立つ質をもっていました

お恥ずかしいことに認識不足だったのですが、後からお話をお聞きすると国内の鱧よりお値段は約1.5倍とのこと
業で魅せる素晴らしい鱧の焼き霜造り

◆椀物 ばちこと芋茎、マコモダケ

椀を開ければ、ふわりと立ち上るのは鰹の真っすぐした香り

大将が珍しいアプローチで、と紹介された椀は鰹の出汁を効かせ、炙ったばちこ、その2つだけで表現したシンプルな出汁
旨みが強いので他には何もいらない、ですが物足りなさもないくっきりしたお味

和としての椀は何なのか、地に足をつけ潔い勝負ができる貫禄の椀物

◆八寸

茅の輪を模し、どこからでも輪を潜る様に造られた縁起物の八寸

構成は笹寿司、車海老生姜煮、生ハムアスパラ巻き、白瓜金山寺味噌がけ、沢蟹、鱧の骨のフライ、卵真薯、奥の器には金時草のおひたし
青い実は一見梅に見えますが若い桃です

どれも八寸として上手く纏まる様、甘味・塩味のバランスが取れている一方個々に個性もありました

◆お造り 鮪佐渡、トリ貝

佐渡定置144.4キロ
ブランド負けしない、美しい色味と艶、風味も期待値以上
身質がしっかりしている濃いお味
仕入れはもちろんのこと、高まっていく風味の頂点を感じさせます
お造りという一皿で、またこの季節にここまでのクオリティを提供できるお店の強みも感じさせました

トリ貝は炙り酢橘を絞って
活きが良く、硬くなくはなくとも弾力はしっかりしていました

◆天然鮎

琵琶湖鮎
焼きはふわっとしていて、身は甘いです
特徴はジューシーさ、焼きでも内部に水分を残していて美味

◆鱧しゃぶ

淡路の鱧と淡路の玉ねぎ
淡路は上品な甘さ、確かにしゃぶしゃぶにするなら国産が合いそうです
玉ねぎはとても甘く、鱧だけでなくこちらも美味

追加で何回かいただきました

◆お食事

お馴染みの鯛茶漬け、合わせるご飯は「おぼろづき」

雪蔵貯蔵に置くことにより新米の美味しさを保っているというお米です
当店の鯛茶漬けは出汁ではなくお茶をかけていただくスタイル
深いタレとお茶が合わさりすっきりした後口で終われます

もう1種類ご飯が紹介されました

蛤と枝豆の炊き込みご飯

出汁は蛤だけ、お塩も何も入っていません

いただくと塩気が絶妙、何故こんなベストな塩梅に着地できるのか不思議でたまりませんでした
枝豆は小さめですが濃く存在感抜群

けっこうお腹がいっぱいになっていたので、お土産で後程いただくことに
冷めても少しもちっとしたご飯が良く、くろぎと過ごした時と美味しさを思い出すお味でした

◆塩アイス

きな粉と少量の黒蜜、桜の花を散らした塩アイス
塩気は強くないので、くどくありません

アイスにかけるワインはいかかですか?と差し出されたのはなんと・・・・

シャトーディケム95

貴腐ワインの頂点をアイスにかけるなんて考えたこともなかったので思わず
「そんないいのかけちゃうんですか!?」なんて一般市民な反応をしてしまいました・・・・

もちろん美味しいことこの上ないです
甘さの中にもキリッとした気品があるシャトーディケム、黄金色に光るワインと楽しみました

◆水出しコーヒー

何故かコーヒーがしっくりきました
確かにお茶の流れではなく、くろぎの世界への完成度を感じさせます


豪華絢爛にさせ過ぎず、ですが確かに伝わる素材への拘りとその活かし方。
強き眼差しの中に独立した世界を構築した日本を代表する料理店、くろぎでした。

 

DETAIL DATA

ico

アクセス、営業時間など

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