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まき村

まき村

星2つ半が平均

品の良さとバランス。敷き詰められた鮎のご飯は格別のお味

始まりは1989年大森、その後2010年大森海岸に移転オープン。心温まるおもてなしと日本料理のあるべき姿を表現しミシュラン三ツ星に輝くまき村。

場所は大森海岸から7分程。
しながわ水族館から近く、住宅街と時々小さな工場があり初めてならここに三ツ星のお店があるのかなと思ってしまうかもしれません。

お店は1人派の私。
ですが当店は、事実上お1人様予約がほぼ不可能なのでご一緒したいと思って下さる方がいる時のみ訪問できるお店。
それはカウンターは僅か6席で回転はなく、1席だけ余ることはほぼないからです。
2名でしたらまだ空きがあり訪問自体はできそうです。

店主は牧村彰夫氏。
89年に大森で開業して以降、評判が評判を呼びついに2015年ミシュラン三ツ星を獲得。
同じ三ツ星というとジョエル・ロブションやカンテサンス、すきやばし次郎等華やかな街にありますが、まき村のみは住宅街に位置しています。

お値段も日本料理店としては控えめな2万円程。
素材勝負ではありませんが、旬で彩りながら日本人に馴染む美味しさの中に忍ばせる仕事を感じさせるお料理です。

外観は白漆喰、店内は個室とカウンターに分かれカウンター中央には季節を彩るお華が活けられたシンプルで品のある空間。
カウンターの檜は柔かな手触りで、失礼ながらこのお値段のクラスのカウンターはここまで上質ではないことが多いのですが、設えでも世界を現していました。

お席は全14席。
まき村としてスタートした時は全28席、99年にリニューアルして18席、更に今回でお席を減らしたことになります。
最終的には1日1組のお店にしたいという想いに裏付けられるように、奥様との温かな接客とお心遣いがお味とリンクし形作られていきます。

お写真を再び見返すと、色使いと盛付に表現力がないですが可愛らしさがあり華美でなくても一定の世界観が見えてきます。

お店には牧村さんご夫婦とお弟子さん達、接客は主に奥様とお弟子さん。
三ツ星は何度か訪問させていただいたことがありますが、当店の接客は自然体で人の良さを感じます。
奥底に見える強さではなく滲み出る優しさが魅力です。

<2017/07>

2回目の訪問となりました。
ご夫婦の笑顔を見ているとこちらまで幸せな気持ちにして下さいます。
お料理についてや日々のこと、「え、まき村さんでもそういうものもいただくのですか?」ととても身近に感じるお話まで。
三ツ星という気負いや変なプライドはなく、今では少なくなった日本料理の温かさに溢れています。

他意なく表現すると、高級店に行くので気張ってと行くというより自然に訪問したいお店。
仕事が忙しい中で何かリセットしたい時、立ち止まり心を落ち着かせたい時、そんな時にまき村さんと出会えればいつも以上にお料理を通して見つけられることが多い気がします。
もちろんいつも素晴らしいですが・・・

お味と人間味、素材は極限まで出し尽くさず控えたバランスを取る、器の大きさが感じるお料理。
私としては敢えて産地を気にせず楽しみたいお店です。

◆食前酒 梅酒


◆先付け 南京と赤ピーマンの酢の物/トウモロコシ揚げ/新蓮とどんこ椎茸、きゅうりの胡麻風味和え

南京と赤ピーマンの酢の物

南京(カボチャ)、長芋、甘ピーマン、おくら、じゅんさいが入った酢の物
まき村さんの酢の物は尖っていません
ほんのり広がる酸味、個々の素材が寄り添うお味

トウモロコシ揚げ
カリッではなく、柔かに揚げてあります
際立った甘さではなく、三皿と歩調を合わせるお味

新蓮とどんこ椎茸、きゅうりの胡麻風味和え
新蓮とどんこ椎茸、きゅうり、いんげん、きゅうりの胡麻風味和え、アーモンドを散らして
こちらも胡麻風味は強すぎず、素材も個々に前に出し過ぎない綺麗なお味

◆椀物 千枚鮑と卵豆腐のお椀

出汁が真っすぐ香る、澄み切ったお椀
薄く切られた鮑のエキスがじんわり広がり、卵豆腐は風味ははっきりしていて全体を包みます
塩気もそれなりにありますが、バランスよく今回も曇りはありません
この透明感はまき村だけのもの
雨期に晴れやかさを届ける味わいです

◆鱧 焼き霜造り

玉ねぎの玉葱のちり酢を合わせて

天草の鱧
鱧は骨切りによってお店の色で出て、最終的には印象を変える不思議な食材
まき村さんの鱧は内部に生感らしい食感を残し、むにゅっとした柔らかな弾力を残しています
私的にはそれにより鱧の「薄さ」が無くなり、上品でも淡い甘さと存在感を残す仕上がりとなっていました

◆お造り 鮪/剣先イカ

鮪は佐渡
赤身より中トロになるでしょうか
やや筋があるものの、このシーズンの風味の弱さを上手くカバーし、一定の濃厚さもあります
このお値段で鮪までお造りでいただけるお店はそうありません

剣先イカは舞鶴
お塩でいただきました
柔かで品の良い甘みがありました

◆蒸し鮑と雲丹 ジュレがけ

蒸した鮑に山芋、利尻の雲丹をたっぷりかけ、お出汁のジュレをかけ花穂紫蘇を散らしたもの

鮑は4時間蒸してあり、弾力風味共に良好
仄かな磯の香りが味わいの情景を豊かにしています

山芋はすりおろしではなく細かく刻んであることがポイント
食感を残していて、良く合います

ここまで雲丹がかかっているとこってりしてしまいそうですが、それは全くありません
中心は鮑であることを忘れない、素材のバランスとその控え方にまき村さんらしいコントロールする業が光ります

◆穴子炙り寿司

温かなふわっとした穴子は甘く、尖っていないシャリとも相性良好です

◆金目鯛握り

流れの一貫なので、脂は適度で控えめなシャリでいただくと落ち着くお味です

 

◆マナガツオ、伏見唐辛子を添えて

甘みがあり、皮からは弾力がありジューシーさがあります
適度な脂なので次のお皿にお肉がきても引きずることはありませんでした

 

◆​田島牛と焼き茄子

前回同様素晴らしい風味の高め方で、まき村さんの業が濃くでる一皿
お肉のお味はくっきりと、それでいて特有のにおいは一切なく柔かで中心は程よいレアさがあります
焼き色のついた茄子は出汁の風味も生きていて、とろんとした口当たり
お肉との相性も抜群、甘めの餡と合わさり今回も美味な安定のお味でした

◆お食事 鮎ご飯

今回は鯛ではなく、長良川の鮎
釜を開けると、鮎が敷き詰められていて鮎絨毯になっていました

鮎はワタを取った後にそれを身に馴染ませ味の深さを移し、出汁で炊いたご飯に最後一緒に蒸したそう

よって、鮎のパサつきやワタからくる癖はありません
芳ばしい皮と鮎の甘さ、ふっくらとした身質
鮎というと苦味が効いて、キリッとしたお味も良いですがこういう甘みとお魚の癖を控えた風味も新鮮
お魚は苦手という方でも、きっと気に入って頂けるお味

更におこげも格別で甘い鮎といただけば2杯目はまた違った美味しさに出会えます

ストレートに美味しく、ご一緒した方と全ていただいてしまいお土産には回りませんでした

 

◆甘味 マンゴーとクリームチーズのプリン、ワインジュレがけ

クリームチーズは濃厚さとコクがあり、宮崎のマンゴーの甘さが包み込みます
ワインジュレはワインのお味が残っていて綺麗に纏め上げていました


一緒に行きたいと言って下さる貴重な方がいらっしゃったのでご予約をお願いしました。
次回は9月下旬、秋色のまき村さんが今から楽しみです

 

<2017/05>

◆梅酒

クラッシュした氷入りのブランデーベースの梅酒

◆先付け 季節野菜の胡麻ペーストを合わせて

菜の花、空豆、ホワイトアスパラ、エンドウ、パプリカ、カボチャなどが入り、胡麻ペーストとお出汁のジュレとかけアーモンドを散らしてありました
ライトカラーで彩られ、カラーバランス良いです

胡麻ペースト風味は強すぎずお出汁のジュレとのバランスが良好、アーモンドがアクセントとなり季節野菜には食感を残しつつ優しく深く味が染み込みハーモニーを奏でていました

使うと主体になってしまいがちの胡麻ペーストを全体の一部として落ち着かせている先付けです

◆椀物 筍と鱧の真薯

筍は京都、物集女のもの
蕨と木の芽が添えられ、上部から姫皮(穂先の柔らかい部分)、筍と白身の真薯、底に筍の根元の部分を輪切りにして置いた珍しい筍尽くしのお椀

ここまで筍ですと、特有の癖が気になってしまうかなと思いましたがそれはありませんでした
真薯も筍が主体ですが、鱧をすり身にしてあり纏わせてあり食感はふわふわ
優しいほんのりとした甘みがあり、供された時は白身とのご紹介でしたがお聞きするまで鱧だとは分かりませんでした

お出汁はすっきり透き通るお味で、何より驚いたのはとても温まること
お椀の温度はさほどでもないのですが、体の熱が急激に上がって顔が紅潮するのが分かり食前酒で酔ってしまったのかと勘違いしていました・・・
温まるとご説明すると生姜ですか?とも思われそうですがそういう風味ではない初めての体験でした

筍というと塚原産や大原産ばかり想像してしまいますが、美味しくいただけました

◆お造り 剣先烏賊と車海老

手前はお出汁のゼリーを混ぜふやかした海苔

車海老は中心がレアで剣先烏賊はねっとりとした口当たり

海苔は香り・風味共に良く、ピュアなお味にお出汁を奥に含ませています
よってお出汁が前に出過ぎず、濃くもなく作られた甘さでもありません
こういう素材に忍ばせる細やかさがまき村さんなのかな、と思い返される添え物でした

◆鰹のたたき

千葉勝浦の鰹に、茗荷と芽葱を乗せて
鰹の良い香りを纏って供されます

見た目はスタンダードなのですが、やはり一味違います
フレッシュでキリッとした味わいがある鰹が多い中、こちらはほんのり温かく円みのある味わい
優しいのですが、玉葱ソースだけをいただくと意外にお味はしっかりめ
ですが、合わせるとそれは鳴りを潜め素材を引き立てます

◆焼物 サクラマス

青森県の本鱒、タラの芽を添えて
こちらも香りにグイグイ引き寄せられます

ふんわりとした身質と甘さ
通常皮がパリパリ系はあるのですが、こちらのお皿は弾力があり芳ばしく皮からも旨みが楽しめます

◆帆立と長芋、雲丹のジュレがけ花穂紫蘇を添えて、蛍烏賊とうるい、酢味噌和え

2皿、小皿に盛られ供されました

帆立と雲丹のジュレがけはジュレに塩気があるものの昆布出汁香るすっきりした味わい
大きくカットされた帆立は食べ応えあります

蛍烏賊は柔らかく、ぷにっと弾けて内側の濃厚さが広がります

◆白魚の茶わん蒸し

蓋を開けると添えられた木の芽の香りが上がってきます
たっぷりの茶わん蒸しの上に綺麗に整列された白魚

茶わん蒸しはつるつるとして喉越しで柔か、卵の円いお味
白魚は淡泊でありながら、シンプルになり過ぎない様に幅をもたせます

◆但馬牛とアスパラ

ここまで割とさっぱり系で優しいお皿が続き、こちらも色合いから延長戦にある感じさせますが実際は大きく異なりました
フリンジの焼きは芳ばしく、中心は程よいレアで柔か
お肉のお味は力強くはっきり
ですが、野性味溢れた力強さではなく上品さがあります
和のとろみがある出汁、アスパラとの食感が相性抜群
お肉の旨みをセンターに置きながらも日本料理らしさで纏わせる美味な一皿

◆お食事 鯛茶漬けと香の物

こちらのスペシャリテ鯛茶漬け

ご飯は魚沼産、聞き慣れた産地ですがこちらのご飯は産地の方が何度かに分けて精米していき劣化を防いでいます

香の物はこの糠で漬けたもの

鯛は淡路産の天然鯛
下の胡麻だれは味噌色ですが使用していません
胡麻と胡麻をペースト状にし、醤油とたまり醤油で味付けをしてかき混ぜて寝かせて、を繰り返したもの

山葵は農林水産大臣賞を受賞したことがある御殿場、瀬戸さんのもの
香りは良く、ですがツンとし過ぎず上品と言われて評価が高い山葵です

土鍋で炊いたご飯は蓋を開けなくても甘い香りが立ち込めます
経験したことなくても日本人は昔この様なお竈さんから零れる香りによって時を知ったのかなと懐かしさを伝えてきます

まずはご飯だけでいただくと、瑞々しく甘く柔らかですが粒感がありとても美味

鯛は弾力があり甘く、胡麻の風味と相性抜群
胡麻だれは胡麻の風味と醤油が合わさりただただ胡麻ばかりが前にくることはありません

最初はご飯の上に乗せて、次はお出汁をかけてお茶漬けに、最後はおこげのパリパリ感とお出汁を合わせていただきそれぞれの良さを楽しめました

◆水物 静岡マスクメロン、宮崎のマンゴー、苺、タロッコレンジ

アングレーズソースを敷いた上に静岡マスクメロン、宮崎のマンゴー、苺、タロッコレンジ、白ワインジュレをかけて

タロッコレンジとは愛媛の松浦さんという方が作られている、国産ブラッドオレンジ
ブラッドオレンジと言うと酸味があり野性味がありますが、タロッコレンジはマイルドで甘くジューシーさが目立ちます

アングレーズソースはやや甘めですが、ジュレの白ワインが効いているので大人のお味に仕上がっていました

 

最後は残ったご飯をお土産としていただきました。
家でいただくともちもち感が強くやはり美味。

次回もまたと思いましたがやはり1人は空きがなく、次回もマイレビュアー様に連れて行っていただくことに・・・本当にありがとうございます。
お店に居やすかっただけでなく、マイレビュアー様とのお話が楽しく3時間位の滞在でお時間を取らせてしまいました・・・

柔かに奥深い名店、一度でもお味だけなく、お人柄、空間、全てで楽しみたいまき村でした。

DETAIL DATA

ico

アクセス、営業時間など

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