ランチはリストランテと思えない程カジュアル、お味はしっかりタイプ

2012年オープン、代々木上原にある星付きのリストランテ、イルプレージョ。
オーナーの岩坪氏は若い時からイタリア全土で研鑽を積み、その後中目黒の有名店リストランテ　カシーナ・カナミッラの料理長を務めた方。

お店は意外にも有名スーパーの2階にあり、また同階層にはもう一件お店があり、それもイタリアン。
ドアは木製で中は見えず入ると想像していたより小さく狭く、エントランスすぐに席があり、私は寸前の予約ということもありレジ近くでした。
ですが、いい事にシェフが作られる光景も見えてお得な感じ。
スタッフは手馴れた方とまだ少しぎこちない方のお二人でしたが、特に感じが悪いということはありませんでした。

お客様の服装はかなりラフな方、やや硬い服装の方もいらっしゃり、店内の雰囲気から見るとランチは少しお出かけ程度のお洋服が良さそうです。

フォカッチャとライ麦

フォカッチャは自家製、温かく柔らかくふんわりしておりオイルでベタベタ過ぎると言うわけでもなく食べやすいです。
クラストはサクッとクラムは柔らか。

対してライ麦パンはかなり弾力のあるタイプ、噛みごたえがありました。

【アンティパスト】

大根、スペック、レモン、ケシの実タルト

スペックとは、豚のもも肉を燻製、熟成させたもの。

左はスペックに巻かれた大根、レモンも挟まれています。
右は大根をペースト状にしたものに散らされているのはケシの実をパートシュクレにしたものです。

左の方から頂くようアドバイスされ、その様に頂きました。
大根は一度濾されてまた形作られたもので、口に含むと少しの形感を感じた後も、滑らかに溶けていき、レモンの香りはライト、スペックの歯応えと塩気、香ばしさも良いです。
大根本来のお味を残しながらただのっぺりとペースト状になってる訳ではないところが奥深かかったです。

右のアンティパストは左と違いとろとろ。
パートシュクレのカリッと感がアクセント、多少の苦味も味わえ、素材のお味でさっぱりスタート。

【アンティパスト】

鯖の昆布締め　茄子のストゥファート

鯖のにおいを消すために昆布締めにしてあるとのことでしたが、においはありました。
赤いのはトマトを乾燥させ、粉末状にしたもの、右の細粒はケッパー。
ストゥファートは、茄子よりもオリーブの実とパーネフリットが目立ち、時々生姜とオレガノのピリッとしたお味があり起伏を出しています。
ソースは濃いめで、食べ進めていくと鯖のにおいも気にならなくなりました。

【プリモピアット】

タリオリーニ
テネルーミ・浅利・マグロのカラスミ・檸檬

サーブ時からレモンの涼やかな香りがしっかりし、上にかかっているのが鮪のカラスミ、タリオリー二は自家製。
お味はレモンと魚介の旨みが凝縮されており、あさりはふっくら、火入れが丁度よく、テネルーミが新鮮さを与えます。
カラスミのあるせいかお味は濃いめでしたが、纏まってはいます。
タリオリー二はぷつっと切れる食べやすいタイプ。

【プリモピアット】

スパイシーなクスクス　
アスパラガス・ブロッコリー・山芋・大黒本シメジ・アーモンド・ペコリーノ

大黒本シメジは一度にんにくでソテーし、後から加えたもの。
下層にはアスパラガスを漉したソースが入っていて、長芋はフライパンで少し焦げ目をいれてありました。
パラッとした口当たりのクスクス、スパイシーですが下層のアスパラガスが自然の甘さを持っているためお味を丸くしています。
バター感に、長芋は香ばしく、アスパラガスも歯応えがあり、ナッツの甘さも混じりこちらのお皿も少し濃いめですが纏まっており美味しいです。

【セコンドピアット】

北海道産鴨胸肉の炭火ロースト
たたき牛蒡のストゥファート
そのスーゴと伏見唐辛子をソースにして

品種はチェリバレー。
チェリバレーとは、北京種を元にイギリスで改良されたもの、繊細なお味、甘みやコクに秀でており日本でよく使われています。
そのチェリバレーを提供寸前に炭火でローストし焦げ目を入れています。

ごぼうは一度叩いて後からごぼうの形に戻したもの。
ごぼうのスーゴに伏見唐辛子、円やかにするためにはちみつを入れているそうです。

分厚い鴨肉は切っている感触からお肉は引き締まった、少しだけ硬め。
お味は甘く旨みがあり少し筋っぽいところがありましたが気になる程度にはありません。
炭火ローストがかなり生きており、パリッとしていて香ばしく、脂もジューシーに閉じ込めてあり美味しい。
唐辛子のピリッとさとごぼうの和風さが合っています。
レアの旨さはありますが少し血液が見えるので苦手な方は最初に焼き加減を伝えた方がいいかもしれません。
若しくは聞いてもらえるとお客様にとっては有難い気がします。
私的には美味しくいただけました。

【ドルチェ】

パイナップルと白インゲン豆
バジリコのグラニテ・カカオのソルベ・オリーヴオイル

白いんげん豆は裏漉しし、その後白玉と合わせいんげん豆の形に戻したもの。
緑はバジリコのグラニテ、フルーツはパイナップルのコンポート、ドルチェの基本ソースはパイナップル、自然な甘みでえぐみは全くありません。
バジリコのグラニテには驚く程バジリコのそのままの香りがし、さっぱりしてよく合います。
白玉を加えた白いんげん豆はもちもちさがフォークで刺したときから分かり、お味は癖なく食感が楽しいですが、少し粉っぽさみたいなのが残りました。
ショコラのソルベは、お味自体は悪くないのですがショコラである必要性はよく分かりませんでした。
基本は甘ったるくなく、良かったです。

 

最後はコーヒー、けっこう量があり、驚く程熱かったです。

 

お釣りはピン札もあればそうじゃないのもありました。
最後は岩坪シェフがお見送りに出てくれ、爽やかで大変感じのいい方でした。