谷中を代表する人気古民家カフェ。ふわふわジューシーな厚焼きたまごサンドが美味

1938年創業、根津駅から10分程。1916年築の木造家屋でいただくたまごサンドが美味しいと評判のカヤバ珈琲。

谷中エリアを代表するレトロカフェとして有名です。
場所は言問通り沿いの上野桜木交差点角地にある木造二階建ての建物。
近くには台湾を代表するスイーツ「愛玉子」があります。

カヤバ珈琲の創業者は榧場伊之助氏。
店名の由来は榧場氏の苗字からとってカヤバ珈琲となりました。
創業以来お店は奥様が中心となって切り盛りされてきましたが、ご家族にご不幸があり2006年閉業へ。

地元の方から深く愛されてきた当店。
惜しむ声が続々と寄せられ、有志が集い2009年再開となりました。

お店は朝8時～、夜はバーとなり23時まで営業。
看板メニューは創業当時から変わらないたまごサンドとルシアンです。

建物自体は1916年建築、必要以上の修復は行わず当時の面影を深く残す外観・内観となっています。
観光スポットとしても知られていて、休日の日は長い行列ができる人気店です。

以前から気になっていた当店、休日の14:30頃初訪問。
満席で4組様がお待ちで30分程度で店内へ、この後更に行列は伸びて16時位には10組様位の待ちになっていました。

店内は1階がテーブル席、2階が脱靴して上がる和室となり今回は1階の窓側テーブル席へ。

角地ということもあり、外光は二方向から差し込み窓も大きく取っているので明るく、窓側でしたら道行く人の流れを見ながら喫茶店らしい一時を過ごせます。

当店は建物だけでなく、看板や椅子、カウンター、食器等当時の設えを残しているのも特徴。
修繕された昭和時代の椅子、長い生活の中で斑になった床、奥深い色になった柱梁、繊細さがある窓枠・・・店内の至る所に昔の名残を残す内装。
ですが一方で席にはブラックの小さなペンダントライトが下げられ、店舗奥は壁面全体を光源とするライティングとモダンが同居する空間となっていました。

スタッフは若い方が中心、生き生きとされていて感じは良好。
お客様は10代～実年齢層まで大変幅広いです。

メニューのフードはパンが主体で、看板メニューのたまごサンド、挟んでいないたまごトースト等6種類、スイーツはパフェやみつ豆など6種類。
ドリンクはルシアンを始めローストナッツマキアートや谷中ジンジャー、黒蜜きなこラテ等19種類程と幅広いラインナップ。
余白利用したレイアウトに可愛らしいイラストが映えるデザイン性があるメニューは見ているだけで楽しいです。

オーダーはたまごサンドとルシアンにしました。

ルシアン

コーヒーとココアのハーフホットドリンク
創業当時からある定番メニューです

お味はココアの方が強い印象
最初の口当たりはココアでコクと甘さの後にコーヒーの苦味がうっすらと広がります
甘さはあっても最後はコーヒーが締めてくれるのでさっぱり
コーヒーは特段風味としては出てこず、後味で役割を果たしていました

カップはレギュラー
最近のカフェはモーニングカップサイズが多いので少し小さい印象を抱くかもしれませんがココアの濃厚さもあるのでこれ位が丁度良さそう

掠れたフリンジラインのゴールドから年代が滲み出ていて、建物だけでなくカップまで大事にされているお店の気持ちを表していました

たまごサンド

焼きたての厚焼きの卵焼きを食パンに挟んだシンプルなサンドイッチ
たまごサンドと言うと通常フィリングは潰したゆで卵ですがこちらは卵焼きというのが特徴です

サーブされたできたての厚焼きの卵焼きからはほかほか湯気が出ていて、断面からは卵の水分が光に反射して輝く正しく黄金色
お皿も温められていて細やかな気遣いを感じさせます

卵焼きはふわふわで見た目通りジューシー
味付けは塩胡椒とシンプルなので卵の甘さが際立ちます

パンは系列のカヤバベーカリーのもの、6枚切り相当の厚さです
しっとり系ではありませんが、甘みがある食パンでバターと辛子マヨネーズが塗られていました

食パンと卵焼きが交わると、卵焼きの甘味と塩気、辛子マヨネーズのピリッと感、たっぷりめに塗られたバターの風味が効いたリッチかつバランスの良いお味

目新しい素材は使われてはいませんし、辛さや出汁で引っ張るお味ではありませんがストレートに美味しいと思えるたまごサンド
懐かしく家庭的な側面もありますが、ただそれだけではないしっかりしたレシピの元で作られたお味です
温かさも美味しさの重要な要素で、いただいていると優しい気持ちにさせてくれました

 

守りに入りすぎず変えすぎず理想的な形が人気の一端になっているよう。
大正時代の雰囲気を残しながらもさり気なくモダンを加えた今と昔が交差する谷中の人気カフェでした。