ケーキの頂点を争う美しさ。エディブルフラワーが可憐、センス良く透明感のあるケーキたち

2011年オープン、篠崎駅から徒歩6分程。仏大統領杯優勝し大統領から表彰されたこともある実績と可憐で美しいケーキが評判のヒロ　ヤマモト。

オーナーパティシエは山本浩泰氏。
フランス時代の2004年にガストロノミック アルパジョンコンクールのアメ細工部門にて優勝。
ロモランタンソーローニュ ガストロノミックコンクールでは飴細工部門と総合優勝をし当時のフランス大統領から表彰され、ガストロノミック ディジョン飴細工部門で日本人として初優勝。
フランス帰国後はマンダリンオリエンタルホテル東京のパティスリーの立ち上げに関わり、ピエールエルメではシェフパティシエを勤め独立。
2011年にこの地に自らの名前を冠したパティシエ・ヒロ　ヤマモトをオープン。

スペシャリテの立ち位置は5日間かけてフィユタージュを折り込むというミルフィーユ。
他はそれぞれ人気があるようで、来店されるお客様が選ばれるケーキは様々。
どのケーキも品があり美しく、エディブルフラワーやフルーツをふんだんに使ったフォルムに魅了されます。

場所は商店街から一本入ったところで回りにお店はない閑静な住宅街にあります。
店舗はガラス張り、店内はホワイト系で明るく清潔感有。
正面の壁には特に何も飾らず筆記体のロゴを照らすアップライト、所狭しと商品が置かれているお店ではなく程よい間隔でディスプレイされシンプルで輝かしい実績を示す大きなトロフィーの数々が目を引きます。
白色ライティングが良く、色温度が適正な為ショーケースだけでなく店舗内も美しいケーキはより映えて色被りしていません。

イートインはテーブル2卓。
飲み物をオーダーすることによって利用可能です。

接客は女性お2人、接客専門の方とパティシエール。
気も効き、にこやかで感じも良いですが一部の評判にある通り饒舌ではなくあまり積極的ではないかもしれません。
出来上がったケーキは山本氏自らショーケースまで運ばれてきて雰囲気はやや職人気質でしょうか。
お客様は多くても活気がある方ではなく、大人しいイメージのパティスリーです。

また、こちらのパティスリーは焼き上がりにタイムラグがあります。
オープンは10:30ですが全て出揃うのは12:30以降。
ミルフィーユが最も遅く、ショーケースに並んだのが13時頃。
お目当てのケーキがある場合は事前にお問合せが安心です。

いただいたのは2点でしたがどちらも上品で繊細。
ヘビーなテイストではないので、甘党でなくても2つ程度は軽くいただけるお味。
見た目麗しく甘さ控えめの華があるケーキ。
押してくる強さはあまりなくやや大人向けテイスト、濃厚でしっかりした万人向けではなく個性があるのであっさり系が好みな方と相性が良さそうです。

休日の13時頃訪問。
お客様は途切れることなく来店され、ご近所の方が多いのかテイクアウトが9割でした。
テイクアウトは保冷材を入れれば2時間程もちますがどれも繊細な出来なので私的にはそれ程もたない印象。

ショーケースに並んだケーキはエディブルフラワーのカラーが冴えてフェミニン。
女性ならまず間違えなく気に入るフォルムで、どれを見てもため息が出る美しさ。
ピエールエルメ出身ということもあってか、イスパハンの形をしたルビィーというケーキもありました。

種類も出揃った時間なので数十種類ありどれにするか迷いましたが、まずはパティシエールおすすめのミルフィーユを選択。
次にリキュールを使用したケーキをお聞きするとマルキーズ、モンブラン、ブランマンジェフレーズ（二層のエディブルフラワーがついたゼリー）を紹介されマルキーズを選択。
1つずつ出していただきました。

ミルフィーユ

ケーキはパティスリーによってはいただいて欲しい順番がある場合があります
パティシエールにお聞きすると工房の山本氏に聞きに行って下さり、ミルフィーユとのことで最初はこちら

見た目通りフィユタージュが占める割合が他のミルフィーユより多め
バターが香ばしく塩気と適度な苦味がありもちろんサクサク、重々しくなくフィユタージュが目立って残念と思うことはないクオリティ
1枚は薄く折り込みは丁寧であまくないので空気層は少なめ、凝縮した美味しさがあります

フィリングはクレームパティシエールのみ
卵とバニラがふわりと香り風味良く、甘さは強すぎず上品な仕上がり
風味が良いのでラム辺りで香り付けをしているのかなと思ったのですが何もしていないそう

フィユタージュのサクサク感と焼きの強さからくる少しのビターさと前にでてくる塩気
クレームパティシエールとの相性がとてもよく双方ともコクがあってもこってりしてません
とてもシンプルな構成ですが、他ではないミルフィーユでセンスがあります

甘いミルフィーユが苦手な方に、さらりとした甘さがお好きな方におすすめのお味

マルキーズ

美しくオーダーせずにはいられませんでした（ちなみにこちらのパティスリーではこのレベルの美しいケーキがたくさん並んでいます）

フランス産の貴腐ワインをふんだんに使用したムース×レッドカラントジュレ
構成は下からビスキュイ、レッドカラントのムース、レッドカラントのジュレ、レッドカラントのムース、貴腐ワインのムース、レッドカラントのナパージュ
トップにレッドカラント、エディブルフラワー、サイドにマカロン生地

いただくと貴腐ワインの馥郁たる香りが立ち込めます
ナパージュ自体はあまり柔らかな方ではありません
ホワイトカラーの貴腐ワインムースは酸味と香りがたっていて、レッドカラントのムースはクレームシャンティも含まれてはいるようですが酸味もしっかり
ジュレのレッドカラントは果実のストレートなお味
最下層のビスキュイは薄めでさっぱり系

エディブルフラワーは多くのケーキでも多用していることもあり、癖なくやや甘くなっていて食べやすいお味
ムースと一緒にいただくと合いました

マカロン生地は時間が経つと水分を吸ってしまいそうです

口溶けよりお味優先ムースで大人のお味
酸味がしっかりしていて、甘さ控えめです
リキュール好きとしてはとても気に入ったムースですが、お酒を呑まれない方、ケーキとしての甘さが好きな方には不向きかもしれません

 

焼き菓子のマロン、ショコラスリーズ、ケークフリュイをテイクアウトで購入。
こちらの焼き菓子は個別に原材料についての記載がなくお菓子の名前も印字されていませんのでアレルギーがある方を注意が必要です。
どれも甘みは強くなく食べやすい焼き菓子でした。

ショコラスリーズ

ショコラ生地にリキュール漬けのチェリーを入れたもの
しっとり生地に広がるショコラの深み、チェリーは3つ埋めてあり少し甘酸っぱくパサついてはいませんが然程お味は残っていません
甘みではなくビターテイストで、リキュール香る仕上がりですが強くはありませんでした

ケークフリュイ

こちらは持った瞬間に水分量がわかるかなりしっとりとしたケーク
オレンジピールがかなり効いていて、他のフルーツが隠れてしまう程
ショコラ生地でも重さはありません

マロン

ラム酒とバターが生きている焼き菓子
ラムの香りよく風味はバターが強め
小さくカットされた栗が散りばめられていました
甘さは適度、3つの中では一番大きいですが濃厚さで次がいただけないようなお味ではありません

 

こってり系、甘さを引きずるようなケーキは苦手という方におすすめ。
ピエールエルメ出身でも方向性は全く違い、スタンダードさがあるケーキではありません。
濃厚さで印象深く刻むお味ではありませんが、他ではない見た目通り透明感のあるさらりとした後口に仕上げています。
お店の方向性にぶれはないのは好印象、独自のケーキを創り出す賞歴に負けないパティスリーでした。