9月限定契約農家｢黄金桃まるごとタルト」はフルーツパーラーを凌ぐ品質

2009年江戸川駅エリアにオープン後2011年に京成小岩駅に移転。当駅北口から京成小岩商栄会通りを4分程。旬のフルーツを惜しげもなく使用したケーキが目を引くラトリエ・ドゥ・シュクル。
このストリートは比較的静かで目立った店舗はここ以外あまりありません。
地元では「カエルのケーキ屋さん」の愛称で呼ばれるのは移転前にあったカエルのオブジェを新店に飾った結果、お客様がカエルをデザインしたグッズを持ち寄ってくれたから。

オーナーパティシエは白岩操雄氏。
高輪プリンスホテルに入社、青柳でシェフパティシエを勤める等をして2009年に独立。

休日の14時頃訪問、誘目性の高いオレンジの看板でこのエリアではやや目立つ外観。
店内のイートインスペースはテラス2席のみで、ドリンク販売はありません。
この日は小雨でしたが、本降りだとテラス席利用は厳しい印象です。

お客様はご家族連れを中心に、私以外は全員テイクアウトでケーキ以外にも焼き菓子を贈り物として発送される方等様々。
パティシエールお2人は話しやすく感じが良い接客で、奥のガラス張り工房に白岩さんのお姿が見えました。

他のパティスリーと異なる点はこれと言ってスペシャリテの位置付けになる作品がないこと。
強いて言うならガトーフレーズ、他は契約農家の旬のフルーツを豪華に使用した四季折々のケーキとのこと。
街のケーキ店として馴染んでいるので、量は多く作らないらしくガトーフレーズは売切れ。

フレッシュフルーツに対しての拘りが強いお店で、契約農家のシャインマスカットのタルト販売は約1週間で終了。
ケーキも新作や入れ替えが激しくフォレノワールは次回未定で販売期間はなんと3日間。
毎日全商品の告知はフェイスブックで行われ、確実に購入したい場合は取り置きがおすすめです。

旬のおすすめとして紹介されたのが「岡山産丸ごとピーチタルト」(900円)と「丸ごとピーチタルト」(600円)。
違いは前者が契約農家内田桃園の黄金桃を使用している点。

前述により契約農家さんの岡山産丸ごとピーチタルトを選択、お値段はそれなりにしますがとても大きい桃を丸々1個使用。
桃と言えば夏のイメージですが岡山の黄金桃出荷時期は桃の中でも最後、9月辺りから旬を迎えます。

結果としてフルーツの質はフルーツパーラーを凌ぐもの。
それだけでなくパティシエがフルーツのもつポテンシャルの最高点を知っていて今回の黄金桃はかつてない美味しさ。
契約農家さんへのリスペクトも忘れない白岩さんも素敵ですが、両者の見極めがあってこその出来栄えでした。

岡山産丸ごとピーチタルト

テラス席で待っているとサーブしてくれたのはなんと白岩さん
こちらはフォークだけだと食べにくいとのこと、写真を撮ってから白岩さんが自らナイフでカットしてくれました
有名店で研鑚を積まれたオーナーパティシエがここまでしてくれたのは初めての経験、男らしい雰囲気の方ですがお話もし易い方です

ウエットティッシュを持ってきてくれ細かい気遣いも嬉しいところです

大ぶりの黄金色の桃にナイフを入れて頂いた時にじゅわっと果汁が溢れました
お盆の頃にいただく黄金桃は少し固いイメージ、旬を迎えた岡山の黄金等は完熟しているので柔か

芳醇な香りを放ち、流れる果汁が見るからに高品質さを訴えかけてきました

白岩さんが特に契約農家さんの質には自信をもたれている様にお話されていたのがよく分かる質
今シーズンはフルーツパーラーや日本料理店の甘味等で桃はたくさんいただきました
ただ、間違えなくこちらのがシーズンNo.1
まさかフルーツパーラーではなくパティスリーでこんなに美味しい桃に出会えるとは思いもしませんでした

追熟具合の見定めが完璧なので柔らかすぎず濃厚、ねっとりとしていて瑞々しさがあり糖度ももちろん素晴らしいです
桃の持つ水分量が多く口いっぱいに広がり、香りの余韻はいただいた随分後にも残り満足感に満ちました

桃の中心～土台にかけてはクレームパティシエールを使用
滑らかで卵の香りが前にでてきて、甘さはやや控え桃の良いサポートポジション

その下にはビスキュイ
少し粉っぽさを残しながらも、気泡が大きくふんわりとした口当たり
これが桃の水分を吸収する役目を果たしているらしく、下のパートシュクレに水っぽさが全くないのが素晴らしいところ

パートシュクレはサクサク、バターと粉ものの食感を残す王道的な仕上がりで際立ち過ぎることはありませんでした

桃は時期によって白桃になり、このタルトも相当な桃の大きさでしたが7月下旬頃はこの1.5倍程度も発売されるそうで来年への楽しさも膨らみました

キュートフランボワーズ

ピーチタルトも大変美味しかったのですが、「ケーキ」として何かいただこうと思い甘酸っぱいとご紹介されたこちらを選択

構成は下からショコラビスキュイ、バニラクリーム、ミルクショコラクリーム、フランボワーズクリーム、上に乗せられるのは苺、フランボワーズ、ブラックベリー

フランボワーズクリームは甘酸っぱさが先行し際立ちますが後からミルキーが押してきます
いただく前はムースかなと思いましたが、クリームの系統でした

ミルクショコラクリームはまったりとした口当たりに甘さは強め

バニラクリームのバニラはマダガスカル産
少しざらつきを残しているようで円い甘さと香り、過度なお味ではありません

ショコラビスキュイは水分をもちビターな味わい

全て重ねると濃厚さはありますが、フランボワーズの酸味が効いて最後にはさっぱりした方向性にもっていきます

上に乗っていたフランボワーズは少し苦味があるものでしたが、全体的には纏まりのあるお味でした

肉球マドレーヌ

テイクアウトで購入、2個入りです
スローカロリースイーツとして売り出していて、特徴は新しいお砂糖と呼ばれる蜂蜜中に含まれる天然の糖質「パラチノース」(R)を使用している点
パラチノース(R)はお砂糖よりも吸収が穏やかで満腹感を維持する効果が高いヘルシーな原料として注目されているそう

見た目も名前通り肉球フォルムで可愛らしいです
全体しっとりとしたマドレーヌで、卵とはちみつの柔らかいお味とふわりとレモンが香る癖の無い味わい
ショコラ味はややショコラのお味が押してきました
甘みは強すぎず食べやすい仕上がり、これでスローカロリーなら嬉しい味わいです

 

フルーツを生かすタルトが素晴らしかったので他のシーズンで発売される契約農家さんの素材で作られるケーキもレベルが高そうです。
次回は拘りの栗を使用したモンブランとのこと。
シーズン限定ものは巨峰やオレンジ、マンゴー等魅力的な物が多数、またフェイスブックをチェックして伺いたいパティスリーです。