リベルターブル
星2つ半が平均
フォアグラやトリュフを使用したケーキがスペシャリテ。大胆に時に繊細に、独特な世界を大切にするパティスリー
2013年オープン、赤坂駅2番出口より徒歩3分程度。独創的なトリュフやフォアグラのケーキをスペシャリテとするリベルターブル。
赤坂杉並線に面していて近くには支店を出さない1947年創業の老舗和菓子店塩野があり、主に飲食店が立ち並ぶストリート。
店舗はガラス張りなのでコンクリート打ちっ放しのスタイリッシュな店内が通り沿いからよく見え、知らなくてもつい立ち寄ってしまいたくなるお洒落さがあります。
オーナーパティシエは森田一頼氏。
製菓学校を卒業した後、パティスリー カー ヴァンソン程ではありませんが今では営業日が大変少ない吉祥寺の名店レピキュリアンへ。
その後ランベリー ナオト キシモト 南青山にてシェフパティシェとして自由な発想で活躍。
フランス料理の食材への造詣を深め、それが今のスペシャリテとして繋がっています。
リベルターブルとは、フランス語の自由を意味するリベルテと食卓を意味するターブルの造語。
店名通り縛られない発想の下で生まれたスペシャリテはフォアグラのゼニス、黒トリュフ香るリュクス。
開店当初から話題に上がることが多く、2014年に松屋銀座店と渋谷ヒカリエ店舗の支店をオープン。
当時から気になっていたのですが中々機会が作れず、今回平日の15時頃初訪問させて頂きました。
店内は4席イートインスペース有、店舗自体が大きくはないので席間隔は狭め。
都内の人気店はほぼ訪問させて頂きましたが、ケーキのお味は大変個性的。
素材から分かる通りアテスウェイやryoco(ショコラは同じく濃厚でしたが)、自由が丘3大パティスリー、リキュール香るイデミスギノとも全く違います。
フレンチではフォアグラにいちじく等甘いのに合わせることもありコースの一貫でいただくのはそう珍しくはありません。
ですが、これをケーキとして表現し完結する所はイレギュラー。
私が今回いただいたのはスペシャリテのゼニスとリュクス。
中心に添えるのが強力な素材かつその使用量もかなり多いので相性良ければ唯一無二の作品が出来上がりますが、ミスマッチだと大変なことになってしまう危険性をはらんでるアグレッシブなケーキです。
パティシエ自身キリッとした涼やかな目元が印象的で挑戦者の様な雰囲気の方なので、それを投影したかのようなお味に仕上がっていました。
他のパティスリーとの比較は難しく、口溶けの良さを追及、重くないテイストや日本人向けのクレームシャンティを作り出している訳ではありません。
何をセンターに添えてそれをどうケーキとして完成させるかにかかっているので、作品毎に大きく評価が分かれるパティスリーです。
フォルムは美しく、崩れなく、グラサージュも滑らかでもちろんフィリングも中心に収まっているのでおもたせとしても安心して利用できます。
イートインで驚いたのはカトラリー。
リュクスはフイユタージュ、ゼニスはムース系なのですがケーキナイフが違い、外見だけでなくいかに美しくいただけるかにも気を使っていました。
多くのパティスリーでイートインを利用しましたが、これが出来るパティスリーはまずありません。
作品だけでなくその世界自体を大事にできるのはとても素晴らしいです。
スペシャリテのお値段はパティスリー カー ヴァンソン並に高く800円台。
想像していたより大きいですがアテスウェイ等に比べると小さめではありますが、かなり濃厚なので満足感が得られるサイズとなっていました。
ゼニス
一言で言うなればフォアグラのケーキ。
構成は上からキャラメリゼ、シブーストクリーム、ソテーされたりんご、ベースはブリゼではなくフイユタージュ、折り込みパイ生地となり中にフォアグラ。
キャラメリゼはパリッとはしておらず、苦味が先行する大人味。
シブーストクリームの甘みはやや弱め、カルヴァトスの香りがとても強くクリームとして想像するクレームパティシエールではありません。
ソテーされたりんごはカットされていて、甘みもそれなりにあり歯応えがありべしゃっとしていないので口当たりは良好。
フォアグラは塩気とコクがあり、前述のシブーストクリームは単体でいただくと香りは強いのですが勝つのは完全にフォアグラ。
フイユタージュからはバターの香りでケーキらしさがありますが、こちらからも塩気。
回りはサクッとしていますが、底はフォアグラの水分がでてしまっているので少ししんなりしていますが気になる程ではありませんでした。
フォアグラの印象と下層エリアの塩気が強く、甘さ担当はりんごですがぶつかるような甘みではないため甘塩っぱい出来ではありません。
センターはフォアグラとしてぶれはなく、適度な甘さとフォアグラの嫌味の無い濃厚さを楽しむ素材を大切にしているお味。
後味は主にフォアグラとフイユタージュからくるバターの香りでした。
リュクス
一言で言うなれば黒トリュフのケーキ。
構成内部はショコラムース、フィリングとして薄くショコラビスキュイ、中心に黒トリュフクリーム、下に砕いたマロングラッセ、ベースはアマンドシュクセ、上からショコラグラサージュ。
フォルムが美しくグラサージュは回りを映し出す滑らかな鏡面。
最近はグラサージュにムラがある所が増えていますが、こちらのはとても綺麗です。
グラサージュ自体はかなり柔らかいので夏場のテイクアウトは気を付けた方が良さそう。
上のショコラオーナメントは苦味を効かせつつ甘み有。
ショコラムースにはトリュフは入れられてはいません、全体的にかなり濃厚で甘さ有。
フィリングの黒トリュフクリームは卵×トリュフ、こちらもかなり濃厚。
下に砕いたマロングラッセが少し入っていますが、トリュフが強い為よくお味が分からない程。
ベースもアーモンドなのでこちらからも香りが入ってきます。
黒トリュフが強いので、ゼニス以上個性的。
かなり香りが寄せてくるので、サマートリュフ程度の香りがお好きな方は驚きそう。
ショコラと黒トリュフが負けずに張り合うので甘く、ヘビーな仕上がり。
ショコラを抑えれば黒トリュフばかりが先行してしまい、とは言っても黒トリュフを抑えればセンターが弱くなってしまうので配分が中々難しいのかもしれません。
かなり濃厚なお味がお好きならリュクスですが、リベルターブルを初めて訪問される方はゼニスの方が良いかもしれません。
マドレーヌ オ トリュフ ノワール エ フロマージュ
主に黒トリュフとシェーブルチーズを使用したマドレーヌ。
開封すると強いトリュフの香りが迫ってきて、徐々に卵と甘い香り。
しっとり系ですが、原材料が特殊だけあり少しパサッとしている印象。
シェーブルチーズは小さなブロックとして数個入っていて塩気を出しています。
全体的にはバターが効いてマドレーヌらしさはありますが、勝つのは黒トリュフ。
甘さは普通のマドレーヌよりはずっと弱いですが、焼き菓子と言える糖度はありました。
マドレーヌ トリュフ ノワール
同じマドレーヌですが、シェーブルチーズは入っておらず黒トリュフとアーモンドが主体。
焦がしバター的な香りがして、アーモンドが香り黒トリュフも感じますが焼き菓子としてはバランスがとれた味わい。
中心部にバターを垂らして入れているらしく、集中的にそこからコクと塩気がでていました。
普通のマドレーヌとは違いますが、思った程は尖っていないので食べやすい方です。
ムラングレザン
名前通りメレンゲ、サルタナレーズンがいっぱい入っています。
開けるとラム酒がふんわり香り、レーズンは少し甘酸っぱさがありますが甘さが強くヌガーの様な口当たり。
アーモンドも入っていて、香ばしさを追加。
甘さはありますが、お酒に合いそうなお味です。
ケーキ、焼き菓子共にお酒に似合うテイストで、私的にはとても興味深いパティスリー。
ケーキの素材選出の大胆さとその配合量には敬服。
他のパティスリーではない気遣いがありますし今後どのような展開を見せるかにも注目、お店は高級感があり接客も丁寧なので気持ちよく訪問できるお店でした。
DETAIL DATA
アクセス、営業時間など
- 【店舗名】
- リベルターブル
- 【住所】
- 東京都港区赤坂2-6-24
- 【営業時間】
- 11:00~21:00
- 【定休日】
- 不定休