オープン日は金・土・日のみ。焼きたて石窯シューで行列ができます

2014年オープン、根津駅から6分程。金・土・日の3日のみ営業する焼きたてシューが人気のル・クシネ。

ル・クシネとはフランス語で「肉球」の意味で、看板犬キンちゃん（キング）から名付けられました。

お店は不忍通りから一本入ったところにある、1912年に建築された古民家長屋「OLD TOWN HOUSE 根津」の1階にあります。
建物の庇には蔦が絡まり、窓ガラスはブルーの色ガラス、木枠には深さの中に繊細さがあり、引き戸の引手のみが他より色褪せていて長く重ねてきた日々の生活が見えるよう。
外観は最低限のリノベーションに留めることにより哀愁も漂っていました。

この長屋の管理人、ル・クシネのオーナーパティシエは共に鈴木孝治氏。

鈴木さんは元々北鎌倉のレ・シュー等で修行をされたパティシエでしたが、2009年に取り壊し寸前だったこの長屋を買い取りゲストハウスとして経営を開始。
その後、2014年に本職であったパティシエとして長屋の1階でル・クシネをオープンしました。

コンセプトは体に優しい素材を使い、無理のない範囲でお客様に日々ケーキといただいてもらうこと。
よって、派手さはありませんがケーキは200円台～と採算度外視とも言える価格帯です。

こちらの人気は焼きたて石窯シュー。
Facebookで焼き立ての時間が告知され、その時間帯に伺うと搾りたてのシュークリームがいただけるというもの。

お店の営業は週に3回のみ、そして必ず告知があるとは限らないようで焼きたてをいただくのは難易度が高くずっと行けずにいました。
休日の14時頃、偶々Facebookを見ると「焼きたてシュー」の文字が。
以前から気になっていた当店、ついに初訪問してきました。

お店は前述通りの外観で目立ちますが、外まで伸びる行列も目立ちます。
皆様のお目当ては焼きたて石窯シュー、よってオーダー率は100%。
告知時間から40分程度の到着でまだ数はありましたが、かなり人気だったので売り切れることもあるかもしれません。

回転率は良く、然程待つこともなく引き戸を開け店内へ。
入って正面にショーケースがあり奥が工房、お店は小さく店内で列と言っても5人程度しか入れません。
この日は看板犬のキンちゃんには会えませんでしたが、右側にはキンちゃんの大きな絵が飾られていて大事に想う心が伝わってきました。

イートインは店内に3席、外にベンチ。
机は木箱ですが、アンティークな雰囲気に合っていてお洒落感があります。

お客様は男女、20代後半～60代くらいと広く外人さんまでいらっしゃいました。

スタッフはショーケース奥で作られている鈴木さんと接客の女性、計お2人。
鈴木さんが、すぐにいただく方には絞りたてシューをお出しして、テイクアウトの方には冷たくしたシューを販売している旨をアナウンスしています。
よって焼きたてを買うつもりがテイクアウト用だった・・・ということはなくお店のお気遣いを感じます。

接客の女性は明るく、お菓子がお好きなのが真っすぐな笑顔で分かる感じ良い方で丁寧に応対してくれます。

ショーケースには13種類位並んでいて、その中から人気No.1の焼きたて石窯シューと季節限定のエクレールフランボワーズ、ドリンクはリフィル自由というホットコーヒーをお願いしました。
お席があったので店内のイートイン利用です。

石窯シュー

焼きたてでクリームをその場で詰めていただきました
クレームパティシエールがこんもり丸く入った可愛いシュークリームです

パート ア シューは石窯で深く焼きを入れているからか、さくさくしていると同時に粗さのあるざくっと系
お店曰くバケットにも近い食感です
アーモンドが効いていて芳ばしく、音でも美味しさを届けてくれました

クレームパティシエールは、ミルキーさが適度な優しいお味
エアリー過ぎず、ですがほわんとした口当たりで甘みは適度で最近見られる超濃厚系とは違います

個性で推してくるタイプではなく疲れないどこか懐かしくいただきやすいシュークリーム
さらりとした甘みがお好きな方、ご年配の方も重くなくいただけるお味に仕上げてありました

エクレールフランボワーズ

フランボワーズショコラフィリングがたっぷり入った大きめのエクレール
パート ア シューは搾りたての石窯シューと比べるとどうしてもふにゃっとしてしまっていますがこれは仕方ありません
溢れる程入ったフィリングはショコラのコクとフランボワーズの酸味を効かしてあり香りは華やか
紅いフランボワーズカラーのアイシングは甘めですが、フィリングのフランボワーズの酸味が軸になっているのでこれ位が丁度良いのかもしれません
時々、フランボワーズ風味はアイシングのみというところも多いですが当店はフィリングにもしっかりフランボワーズの風味がおしてきます
ショコラテイストでもさっぱりいただけて、名ばかりではないフランボワーズの素材を大事にしているお味でした


石窯シュー、エクレールフランボワーズ、ホットコーヒーをいただいてもお会計は1000円弱。
お味は素朴さがあり、接客からは利益優先ではなく美味しいお菓子を皆様にお届けしたいという気持ちがあるお店です。
お店の雰囲気とメッセージからほっこりする人気パティスリーでした。