一心鮨 光洋
星2つ半が平均
東京で味わう宮崎No.1の大将の握り
2003年オープン、宮崎駅から1km程のところにある黒皮かぼちゃの煮汁で炊く米と独創的な仕事で宮崎県の圧倒的な支持・人気を誇る一心鮨 光洋。
宮崎県が誇る名店を引っ張るのは、78年生まれの大将木宮一洋氏と87年生まれのソムリエ木宮一光氏。
同じ昭和町にある一心鮨昭和町本店の一洋氏は長男として、一光氏は四男として生を受け、兄弟で伝えるその味は以心伝心と評されます。
こちらのお鮨はとても個性的。
米は砂糖不使用で黒皮かぼちゃの煮汁で炊き、シャリはブレンド。
お味は裏にほんのり甘さを忍ばせつつ、前に出るのは酢の強さ。
色は大人しいですが非常にパンチがありシャリがたっています。
ネタは宮崎~九州のものを中心とし、ピュアというよりも仕事の深さが光るひと手間加えて世界を彩る鮨。
酢締めや塩締め、車海老漬け等多彩な業で魅せていきます。
その鮨を更に唯一無二の存在にするのがソムリエ一光氏の存在。
鮨をワインペアリングでいただく、珍しいお店。
兄弟の絆と信念でここにしかない鮨を生み出しています。
この度は3/22~27まで東京新宿高島屋の11階で行われる味百選に出展されるとのことで、即訪問してきました。
日にちを忘れそうになっていたところにマイレビュアー様からご連絡頂き感謝です。
訪問は平日18時前、事前に高島屋にお電話すると平日の夕方は然程混まないそう。
到着時の待ちは私だけで、入店からの滞在時間は約1時間弱、退店時には行列ができていました。
握り手は大将ともう1人いらっしゃり、私は正面に近いお席だったので大将でした。
見た目は昔ラグビーをされていたとのことでガッチリした体型でちょっと圧倒されるかもしれません。
ですが、とても話しやすく催事で大変お疲れのはずですがネタのお話ができるなんて思ってもみませんでした。
目まぐるしく握る大将の回りをサポートするのは蝶ネクタイを着けた一光氏。
場を盛り上げる様に冗談を挟み、場を和やかにします。
今回はデパートの催事でのお鮨。
館内は暑く、正直コンディションは良くありません。
これは仕方がないことですので、今回は鮮度の評価は入れませんでした。
お客様も途切れることなく来店されひたすら握り続ける大将。
一光氏は大将が1日で体重が落ちたのが分かったそう。
そんなハードな中、握りはばらつきがあってもどれも丁寧。
催事を「流れ」とせずに1人1人をお客様として握っていかれます。
カプセルホテルに泊まりながら九州の素材に拘り発信しようとする姿にはグッときました。
鮨としてのコンディションが厳しくとも、ポテンシャルを覗かせたのが宮崎の中トロと鹿児島の雲丹。
そしてネタは厚切り、仕事が見える鮨を全12貫いただいても5400円(ワインペアリング6種を入れると9720円)と破格に近いお値段。
大将が仰った「一生懸命握ります」。
その言葉に偽りはありません。
伝えたいことがたくさんあっても難しい会場、ですがその仕事と心と真っすぐな情熱が生きるとても良いお鮨です。
オーダーは12貫、デザートに自家製プリンを選択。
握りの山葵は若干強め、ガリは瑞々しく甘めのちょっとしたスイーツの様でした。
金目鯛の松前漬け
柚子で香り
ネタは大きく、とろっとするほどに柔か
催事でも良い仕事が味わえます
春子鯛
酢橘の香り
強い弾力ではありませんが、環境下もあるかもしれません
コウイカ
厚めに切り付けられたネタ
柔かで甘みがあります
赤身
酢締め、宮崎~天草エリアのもの
筋目がくっきりしていますが、柔か
そこまで濃くはありませんが、味自体はしっかりしています
鉄分を感じるお味
中トロ
塩締め、赤身と同じ鮪
肉厚で旨みもあり美味
天草の鮪もなかなか美味しく、今度は現地でいただきたいと思う一貫
鰹
熟成、生姜の香りと一緒にいただきます
かなり柔らかでお味はすっきりとも濃厚とも違い、強さはあまり感じません
鰆の松前漬け
ねっとりと絡みつくような舌触りで、他の鰆では体験したことない個性的な鮨
柚子の香りを纏い身は柔かで、松前漬けばかりが前に出る訳ではありません
甘く、香りも独創的
深い仕事が伺え、どう寝かせているのかお店への興味が沸く一貫
車海老
冷たいネタで漬けにしているようです
みその香りも楽しめ、形作られたお味ですがお店の色が伺えて楽しめました
雲丹
小粒ですがねっとりしていて濃厚、お味から言われずとも鹿児島雲丹の良さを凝縮した良質なもの
店内が暑いのでどうしても鮮度落ちしてしまっているのが勿体ないですが、素材の良さが伝わりました
現地で是非いただきたい一貫
のどぐろの蒸しずし
宮崎のもの、出汁餡がかかっている温かい一皿
餡はすっきりしていて、のどぐろは甘くやはりここでも目立つのは酢の効いたシャリ
キリッとお味を引っ張ります
鯖の押しずし
酢が効いていて、さっぱり終われました
玉
持った時から分かるエアリー感、ふわふわのスフレタイプの卵
口の中でふわっと消え、甘さも軽くひきも良好
こちらも独創的、個性が光って良かったです
自家製プリン
一光氏から「この玉をプリンにしたお味」という紹介を受け追加でいただきました
和三盆と有精卵で作られたプリン、魚型のタレビンに入っているのはイタリアシチリア島の伝統酒ヴェッキオサンペリ
2口程度いただいてからヴェッキオサンペリをかけていただきます
プリン自体はやや硬めですが、お味は濃く和三盆の柔かな甘み
そこにヴェッキオサンペリをかけると卵のお味の輪郭が浮かび上がる様に際立ちます
ヴェッキオサンペリが和三盆の甘みを残しつつも香りを落ち着かせていて、特性を良く生かしていてさすがソムリエです
ちなみにプライベートでもお料理に使われるほど、お料理との相性が良いワインとのことでした
個性的と言うのは風当たりが強い時もあるかもしれませんが、故郷を想い、道を信じて懸命に握る姿は感動的。
印象に残るネタもあり、是非現地に行ってゆっくりお話をしながら楽しみたい鮨店でした。
DETAIL DATA
アクセス、営業時間など
- 【店舗名】
- 一心鮨 光洋
- 【住所】
- 宮崎県宮崎市昭和町21
- 【営業時間】
- 11:30~14:30 ┃18:00~23:30
- 【定休日】
- 不定休