人気のオムライスは苦味を効かせたデミグラスソースがおすすめ。大人な洋食がいただけます

2000年オープン、上野広小路駅から2分程度。春日通り沿いのビル7Fにある昔ながらの洋食に今を吹き込む人気店厳選洋食さくらい。

日本から見た昭和洋食イメージのハンバーグやロールキャベツ、ナポリタン等をベースに毎月厳選するワインやカクテル、ソフトドリンクも充実。
そもそも洋食店は老舗が多く新規店が参入し根付くのは強いバックがないと難しいカテゴリ。
私自身も思い浮かぶのは長く安定した人気を誇る南蛮銀圓亭、銀座の華やかさをもった洋食がいただける資生堂パーラー、ナリサワが手掛ける東洋軒位。
特に上野の地は歴史あるお店が強いエリア。
そんなコンディションの中でもお手軽な価格とスマートな接客で2014年から連続で2016年までビブグルマンを獲得しています。

スペシャリテはオムライス。
千葉の薬草卵に生クリームを加えた卵で包み込むのは、白米と玄米、ブイヨンで炊いた米の3種類使用するという技巧を凝らしたケチャップライス。
ソースはデミグラスソースと手作りトマトケチャップから選べお店の拘りが強く出ているのはデミグラスソース。
2週間かけて煮込んだデミグラスソースはキリッとしたテイストと評判。
昔ながらの洋食のイメージは甘くお子様向けというイメージがありますが、当店は洗練された大人の為の洋食店です。

今回はオムライスがいただきたく平日のランチ14時前頃に訪問。
受付は7階、壁はオフホワイトで天井から床まであるFIX窓が外からの光量を最大限に取り込む明るい店内。
過度に明るすぎない様にブラインドで調節されているので光が柔らかで眩しすぎることはありません。
床面は深いブラウンフローリング、机も同系統で落ち着いたカラーにすることによりカジュアル過ぎない雰囲気。
フロア中央に伸びる8階への階段はガラス張り、余計なインテリアを置かず適度な空間をとっている清潔感と透明感、適度なカジュアルさでバランスをとっていました。

お席はカウンターとテーブルが有。
テーブル席は基本窓側になり明るめ、奥のカウンター席はオープンキッチンとなります。
テーブル席にしました。

お客様は40代～が多くカウンター利用のお1人様ビジネスマン、テーブル席にはご夫婦やマダム同士のご利用が多く平日ということもあってかお子様はいらっしゃいませんでした。
空間、雰囲気は落ち着いているのであまり騒がしくいただくお店ではありません。

テーブルには赤いプレースマットにカトラリーレスト、やや厚めのナプキン。
すぐにメニューが渡され意外に種類があります。
ベースメニューはハンバーグやエビフライ、牛ひれステーキ、ロールキャベツやグラタン等洋食店らしいラインナップ。
オムライスにはハーフサイズがありました。
ランチセットメニューはサラダ・スープ・食後にドリンク付き。

ライトにいただきたかったのでオムライスセットハーフサイズ、デミグラスソースでお願いしました。

さつま芋のポタージュ

セットメニューのスープはその時によって変わるらしく訪問時はさつま芋のポタージュ

パセリが散らされ、少量の生クリームがかけられたスタンダードなビジュアル

熱すぎずもちろん冷たさはない丁度いい温かさ
さつま芋のお味を前にもってくるお味ではなくクリーミーで甘め、滑らかさがあるポタージュ
原材料ありきではなく、個性はわざと抑えた様な洋食店らしい角がない味わいでした

 

サラダ

レタス中心、トレビスやトマトが入ったスタンダードなグリーンサラダ
重くない自家製フレンチドレッシングがかかっていました

 

コーヒー

こちらはちょっと薄かったかもしれません
食後なのでライトにはいただけました

オムライス

15分程度で提供されました

今時のふわふわ系ではなく懐かしい包み込むオムライス
ベーシックなフォルムですが卵のカラーが均一でぽってりとした形の良さがソフトな仕上がりを伝えてきました

フォークをいれると立ち上る湯気、香りはソフトです

あまり食べ慣れない私にとってのデミグラスソースイメージは濃厚系
子供時代から慣れ親しんだとろみを効かせた甘めのお味で量をいただくとやや重いものというもの

こちらのデミグラスソースは違って、深いブラウンにブラックを流し込んだカラー
さらさら系で長時間煮詰めて手間暇かけたソースだということが誰にでも分かる仕上がりです

お味は絶妙な苦味、少しの酸味がありさっぱりしたお味
さらっとしていますが、濃厚さではなく旨みと苦味で印象深くする逃げがない本格派
確かに評判になりうるお店の色と大人なお味をしています
甘みはありませんので大人向け、お子様ですと苦いと思われてしまうかもしれません

卵は全体的に火を通してあり半熟ではありませんが、ふんわり感は残っています
厚さも薄すぎないのでパサつきや紙っぽさもなく、卵の甘みが生きていました

ケチャップライスの具材として食感を楽しめるのは鶏肉とマッシュルーム
鶏肉には少しパサッとしたところがありましたが塩分は少なく独特の甘さはない優しいお味

お米は粒が独立した歯応えを残してあり、ふにゃっとはしていません
デミグラスソースを引き立てる様な控えめな味付け
単独ですとやや弱いのですが全体のバランスをみるとベストなお味でした

見た目は昔ながらのオムライス
基礎を大事にしたままに時間をかけ丁寧に実直に作り上げたお味
ふわふわ系でもない奇を衒わなくてもしっかりお店の色が出ているオムライスです

 

洋食と言うとどうしても甘く子供時代にいただいていたお味のイメージがついてまわっていましたがこちらのはすっきり重くなくいただけました。
デミグラスソース、ケチャップライス共に一般的なお味ではなく、引くところは引き、伝えたいことはしっかり伝えてきてバランスが良好。
どの様なオムライスを出していきたいのか、他店との差別化が明確に分かるお味です。

ビターなデミグラスソース、子供時代なら良さに気付けなかったかもしれません。
美味しさが分かるようになった嬉しさを感じる大人のためのオムライスでした。