東麻布 天本
星2つ半が平均
超人気店が迎える一周年。期待を飛躍に変え、更なる高みへ
2016年オープン、赤羽橋駅の東京タワーお膝元に位置する鮨界きっての人気店になった五感で楽しむ東麻布 天本。
一周年を迎える今ではお鮨好きなら誰でも知る「予約の取れないお店」として知られるようになりました。
天本は五感で迫る鮨店。
希少なネタを切りつけする前にお客に披露し、カウンター奥にある囲炉裏でつまみとなる食材を焼き上げ「今」と「一体感」を全員で共有する劇場型カテゴリ。
ですが決まり切った流れはありませんし、完全な受動型でもないので双方向性があり会話も楽しめます。
外観は黒塀でシック、すぐ近くで眩いライトアップを放つ東京タワーとは対照的に行燈がぼんやりと天本の存在を知らせる粋な造り。
ドアは二段階で最初の引き戸を開け打水がされた石畳を抜け本扉へ続きます。
この短いアプローチが天本の世界へ誘う布石となっていました。
お席はカウンターのみの8席。
店内は鮨店というより日本料理店の様で、囲炉裏とお竈さんが隣り合っていて、私が知る限り一番似ているのは京都草喰 なかひがし。
内装デザインは未在と同じ方とお聞きしたので、杉原明氏。
未在、なかひがし等を担当された重鎮です。
大将は天本正通氏、銀座新井氏と同じ1982年組。
青山にある鮨の海味で9年修行の後、しのはら(10月に銀座に移転でこちらも予約困難店)で日本料理の研鑚を積み、短期で祇園 さヽ木にも在籍経験有。
すっきりした顔立ちに明るい笑顔、押しつけがましい感じはなく自然体で居られます。
当店は鮨と日本料理両方共に名店での経歴に恥じなく、つまみも握りも妥協はありません。
ネタは派手さとクオリティの両立、それだけに終わらずギミックを入れてくるのも特徴。
おつまみも手が込んでいて、予想外のものも自家製で器用さを覗かせます。
<2017/06>
この日は天本さんにとって特別な日。
訪問させて頂けるのは大変光栄なのと同時に凄いお客様ばかりいらっしゃるはずなので、いつもよりも緊張して伺いました。
ですが、訪問させて頂くといつも通りとても楽しく、同席させて頂いたお客様もいい方ばかり。
楽しさを共有できる空間で私がテンション上がり過ぎてしまったかも・・・と反省する位でした。
いつもひたむきに、時に積極的に、今日より明日、一歩先へと踏み出そうとする大将の姿は魅力に溢れています。
全てのお客様には伝わらなくても、それでも真っすぐに前を向き体力だけでなく心を尽くし駆けるのが当店。
その一度しかない時に全てを懸ける、こんなに一途に燃やせる方はまずいません。
今では予約の取れない超人気店となり、多くの方が期待もしていらっしゃいます。
この日は終わると大将は少しほっとした顔をされました。
その姿を拝見しているとプレッシャーの重さを感じ、私自身に置き換えたらどれ程だろうかと想像せずにはいられませんでした。
ですが一方で、期待を一心に受け止めるその姿も魅力の一つなのかもしれません。
どんな素敵なお店でもどんな名店でもあの日の方が・・・と思う日があるはず。
ですが、そんな時を越えて行ける魅力を当店はもっています。
大胆にそして繊細に真剣勝負をする鮨店。
香りと余韻を大切にする東麻布天本の1周年を彩った記念日は以下になります。
<お酒>
◇若駒 愛山90 無加圧採り
低精米の日本酒
濃厚さの中にすっとする爽快感がある夏によく合うお味
◇今西 純米吟醸 朝日
三輪山の伏流水で醸した日本酒
フルーティーでとても喉越しが良く、ですが辛口ではありません
水の綺麗さを喉で感じることができます
◇純米大吟醸 槽場汲み
新潟、加茂錦酒造の荷札酒
芳醇な香りで甘口、余韻も楽しめる存在感のある仕上がり
若駒→今西→純米大吟醸の順番でいただきました
振り返ると流れの良さが一目瞭然、天本さんのおかげで日本酒初心者でも美味しく楽しむことができました
<おつまみ>
◆もずく
生で仕入れ軽く湯通しした糸島のもずく
強すぎない爽やかさでスタートです
◆白海老と子持ちシャコ
宮城県七ヶ浜の子持ちシャコと富山白海老
子持ちシャコはお塩などをつけずともお味が濃く美味
シャコでもこんなお味をもつなんて驚きです
富山白海老は大きい剥き身のもの
ソフトな甘みなのでシャコと対峙せず良い組み合わせです
◆バイ貝
とても大きな山口萩のバイ貝
肝も大きく風味をしっかり楽しめます
身は弾力良く、ソフトな濃厚さの肝が特に印象に残ります
◆鯛
福岡姪浜の鯛
1日骨付きのまま寝かしたもの、1枚塩、1枚醤油でいただきます
香り良く弾力があり、甘さと余韻が長く楽しめるお味です
◆蛸
東京湾蛸の桜煮、柚子香る一皿
火を通す時間は30分程
柔かな弾力から甘みが溢れます
◆牡丹海老の紹興酒漬け
牡丹海老の紹興酒漬けにこんもりと唐津の赤雲丹を乗せ花穂蘇を散らした見た目もお味も美味な一皿
相性の良い組み合わせで紹興酒の香りがふわりと上がり、雲丹がフレッシュな甘みを演出
牡丹海老も美味しいですが、赤雲丹の鮮度はまた素晴らしいです
直送で送られてくる赤雲丹は形に崩れがないので、食感がだらけていません
もちろんにおいも一切なく曇りのない美味しさです
◆アカムツ
奥の囲炉裏で炭焼きにしていると、いつもより煙が強く立ち上ります
脂だけでなく水分量も多いらしく、またセンサーが鳴ってしまうのではないかと思う位です
アカムツは長崎対馬のブランド紅瞳
供された時には、水分がお皿に溢れてきていました
噂に違わぬお味で、含水率が非常に高く脂が滲み出るタイプではないので綺麗なお味をしています
◆白子
夏のふぐ、ごまふぐの白子
上には生キャビア、下は酢飯の構成で混ぜてリゾットの様にいただきます
白子が大きくボリュームたっぷり
クリーミーな白子にキリッとしたシャリ、適度な塩気はキャビアから補われます
<にぎり>
◆鯛
先程供された福岡姪浜の鯛で、こちらは1日ではなく締めて塩は不使用で3日寝かしたもの
皮目を残した松笠造りです
甘く、お造りとしていただいた鯛とはまた歯切れが異なり違う良さが楽しめました
◆鰯
二段階締めした大阪湾の鰯
鰯は特ににおいが出やすく私も気になってしまうタイプなので少し不安でした
いただくと酢で上手く閉じ込めができていて、それでいて酢は前面にきません
皮と厚めの身の旨みが生きていて難しいネタを上手くコントロールしています
敢えて勝負する姿が心に残ります
◆金目鯛
大原の金目鯛
濃厚さもありますが、フレッシュさもあるバランスの良いお味です
◆赤身
藤田水産、岩手大船渡で獲れた88.7キロ
藤田さんの鮪の特徴とも言える柔らかな身質、瑞々しさがある赤身
◆血合いぎし
こちらも柔らか、持ち上がる様な旨みがあります
◆大トロ
しっかりした濃いお味で存在感あり
◆鯵
鹿児島出水の鯵
そのブランドの中でも最高峰と言われる星付き、さすがの仕入れです
厚切りでフレッシュな甘み、間違えのない綺麗なお味で美味
◆小肌
熊本天草の小肌
身が厚いので旨みを強く感じられ酢も強すぎません
◆トリ貝
愛知三河湾、今年は不漁のトリ貝
今季いただいたのは初音鮨に続き当店が2店目
少し炙って酢橘を絞っていただきます
大変大きくジューシーなのでこちらはお箸がおすすめとのこと
なかなか良いのがないとお聞きしていましたが、溢れる水分と炙ったことに香りも複雑になり、より良く楽しめました
◆雲丹
釧路バフンウニ、川副海苔
とろんとした口当たりに濃厚さのある雲丹、少し苦味のある海苔がマッチし重くありません
◆鮑
千葉名産と言われる大原の鮑
蒸し上げはお酒のみ
包丁を入れているとエキスの香りが充満してきます
驚いたのはシャリと大変合う点
鮑用のシャリと思える程に良く合い、鮑の柔かさ香りと昇華させます
天本さんも奇跡的と仰るほど相性を発揮していました
◆アオリイカ
喜界島の2キロオーバー、酢橘と塩でいただきます
アオリイカ特有のねっとり感を出さず、すっきりした味わい
◆カマス
千葉船橋のカマス、白板昆布を上下に挟んで
塩味、香り、濃厚さ後味共にしっかりした一貫
◆車海老
豊後水道の車海老
いつもは温かですが、今回は敢えて冷やしていただきます
冷たくすることで身が締まって、甘みが増した車海老
夏向きのお味です
◆穴子
東京湾の穴子
いつも通りふわふわで芳ばしいです
◆鱒の介
岩手大船渡で獲れた12キロ
鱒の介をいただくのは初音鮨に続いて2店目
柔か過ぎず弾力があり、濃厚さもあるお味
◆玉
4日寝かした玉
こちらには驚きました
玉と片付けられない今まで口にしたことがないお味
手触りがかなりしっとりしていて、ケーキの様に箸がすっと入ります
食感は2段階となっていて、上部が水分を含んだスフレの様な食感で下部がしっとりした食感
卵の香りが良く、糖度も丁度良い正しくスイーツ
思わず「売りましょう!」と謎の発言をしてしまった玉
お腹いっぱいでも美味しさに溢れたお味でした
かなりお腹がいっぱいで満たされて、無いと思いますがキャンセルをお聞きするのを忘れてしまいました・・・
なので次回は変わらず10月、今度はどんな天本さんに出会えるか楽しみです。
<2017/02>
天本さんのトークはこの日も冴えわたり、ジョーク飛び交います。
また、どこまでお書きしたらいいか分かりませんが、今回ご一緒させていただいた方々も素晴らしい方ばかり。
特に後半のお話はお客の立場では決して知りうることができない情報、それ以上にさらりと「人脈より、その関係を続けることの難しさ」等深みのある話題にも展開。
鮨通な方や上品なお客様に囲まれ私だけ場違い感がありましたが親切にお話して下さり実りが多すぎて、18時入りで気付いたら23:30過ぎていて終電ギリギリ過ぎました・・・
今回は自家製のウネや規格外のつぶ貝、鮑にしか見えないトコブシ、とてもレンジが広く次はどんなものが出てくるのかワクワク、よくここまで貴重なネタを集めたと驚くばかり。
よぎるのは人脈だけでは続かないこというワード、お人柄でこれから先も飛躍が望めるお店です。
シャリやにぎり自体も日々更に良くなっているようで前回よりも安定性が増していました。
そして、この日一番感じたことは「丁寧さ」。
味には好みがあります。
濃厚なのがお好きな方、さっぱりしたのがお好きな方、美しいのがお好きな方・・・
ですが、私的にはこれとは違い根本的に流れる「丁寧さ」があると思っています。
今回の天本さんからはそれを強く感じました。
最高峰の素材を大切に仕込み、つまみなら味付け、焼きなら繊細さどれも丁寧でいただいていて心地が良いのです。
粗雑に扱われると美味しくてもどこか粗野になってしまうもの、それを全く感じさせない仕事が素晴らしくもありこれをお1人で行われているかと思うと頭が下がるのを通り越して体調を気にしてしまう程です。
丁寧に届けようとするその気持ちが美味しさに重なり、更に魅力を大きくしていました。
値段で測れる範疇を超える鮨店になっていくのだと思います、というかもうなっている状態ですが・・・
前回より強いインパクトと驚きを、トークに面白さと深みを。
お鮨に行きたいというより、天本に行きたい。
もっと知らない世界を見せてほしい、そう思わせてくれるここは天本さんが描かれる唯一無二の鮨店です。
◆白魚と赤貝のヒモ、菜の花カラスミがけ
白魚は名産品として知られる三重県桑名のもの、赤貝は大分
菜の花と合わさり早春を感じさせるすっきりした味わい
◆赤海鼠
福岡能古島のもの
青より赤の方がお値段は高めですが美味しいといわれる赤海鼠
鮮度の良さをダイレクトに表現するため味付けはカボスのみ
コリコリした歯応えで、新鮮なのでむにゅむにゅした感触や癖はありません
海の情景が浮かび上がる様なお味がしてお酒が恋しくなりました
◆つぶ貝と肝
なんと1キロ越えのつぶ貝・・・最早つぶ貝と言っていいか分からない立派なフォルムは北海道鵡川のもの
カットすると断面から水分が零れ出し、お箸で持ち上げようとしてもつるつるしてしまいます
身の締まりがとても良く、瑞々しさの後からふわっと広がる甘み
つぶ貝の肝、初めていただきました
この大きさだからいただけるお味で、通常のつぶ貝は白い色が混ざるので肝とは呼べないそう
お醤油でいただきます
甘くて柔かで磯の香りする濃厚さもありますが後までは引きずりません
つぶ貝と肝共に見た目からの差が歴然、とても良質で美味
◆白子茶碗蒸し
高級羅臼の鱈の白子に天草の浅利出汁を使用した茶碗蒸しに浅利餡、芽葱を散らし柚子の香り
白子は半生状態、お味はクリーミーで濃厚があるさすが羅臼の高品質ものです
茶碗蒸しは卵香る優しいお味に仕上がっていて、グイグイ浅利味というわけではありません
白子の強さのみに走らず温かみもあるお味
◇醸し人九平次
甘口ですが、甘さ一辺倒にならずバランスが良かったです
フルーティーで日本酒に弱い方でもいただけそうな丸みのお味
◆毛蟹の雲丹和え、紫雲丹乗せ、生キャビアを添えて
保存のための工程を踏んでいない生キャビアはベルギー産
北海道噴火湾毛蟹と雲丹和えの上に紫雲丹という雲丹尽くしの一皿
器のセンスも毎回のことながら素敵です
いただくほどにまったりした美味しさが広がり、後味もうにの香りが漂いました
◆自家製うね
ミンククジラの生うねを7時間かけて仕上げたもの
脂身部分をうね(畝)、肉部分をすのこ(須の子)、総称をうねす(畝須)といわれる一頭から数%しか獲れない貴重部位
柔らかく、においはまったくないのが見事
甘みと風味が強く、脂のりも強いですが脂自体は不飽和脂肪酸
上品さがあり、これはお腹に余裕があればもっといただきたかったお味で美味しいです
◆牡蠣
佐賀県伊万里のもの
フレッシュさと磯の香り、すっきりとしたお味でさらっといただけます
◆鰆塩たたきの藁焼き
壱岐のもの、炙って皮が黄金色に輝く鰆
藁の柔かな煙を見つつ丁寧に仕上げてくれます
お味は薫香に包まれ、脂のりはありますがくど過ぎず丁度良いです
藁は無農薬米の藁、拘りがでていました
◆スルメイカの塩辛、シャリと合わせて
12月に仕入れたスルメイカを塩辛にしたもの
とろとろで黄身の様な色、塩辛なのでお味はしっかりめですが旨みが負けていません
強めのシャリと合わさり引き寄せられる様なお味
◇新政 平成二十九年丁酉二月四日
旧暦のお正月にあたる2月4日に造られる「立春朝搾り」
いくつかの蔵元が製造していてこちらは新政
もちろん本数限定でレアです
綺麗な香りにさらりとした甘みフレッシュさが際立っています
◆ヒラメの肝
見た目は何の肝か分かりませんでした
3キロオーバーのヒラメの肝、かなり立派です
柔かでとろっとしていて濃厚さもありますが、確かにヒラメの香りが・・・
特有のにおいがあるともお聞きしましたがそれはありませんでした
◆トコブシ
宮城県七ヶ浜産、巨大すぎて鮑の様に見えるトコブシ
上質で肉厚なトコブシは鮑のお味に匹敵する・・・とのこと
お味は・・・・鮑です、柔らかで磯の香りがして美味
お土産のばらちらしにも入れてくれていましたが、風味落ちもせずトコブシへの印象が変わりました
◆のどぐろの酒蒸し
長崎対馬のもの
のどぐろの酒蒸しは供されることが多く、いただく前に何となくお味の輪郭を予想していたのですが見事に覆りました
出汁が秀逸で香り高く、個性があります
ベースは敷かれた昆布は北海道尾札部産と日本酒の酒粕、主にこの2種でこの深みが出せるのは驚き
出汁のお味は濃いめではありますが、旨みが強く全ていただきました
のどぐろは95度に短時間火を通しただけなのでふっくらふわふわ
定番化されているものだから難しい、色が見える良いお味でした
<ここからにぎりです>
◆ヒラメ肝のせ
先程振る舞われたつまみヒラメの肝のにぎり
少量の肝を上に乗せてあります
かなり肉厚、きゅっと締まったというよりもちもちとした食感
そこに肝のコクと天本さんのシャリが合わさり相性抜群、お味として美味
◆サヨリ
千葉県木更津のもの
透明感があり、すっきりした甘みがあり存在感もあるお味
◆スミイカ
神奈川県小柴のもの、すだちを絞っていただきます
さくっとしていながらも少しねっとり感もあり
ねっとりし過ぎずサクサクし過ぎず良いバランスで甘み、旨みもあり
◆鰤
長崎対馬、14キロの背と腹の血合いぎし
お味が濃くて、これは刺激を感じる程の旨みがありました
◆ヤイトガツオ
鹿児島定置
関西弁の「やいと」=「お灸」を表し、皮にお灸をすえた様な斑点があるのが特徴
お味はこれがカツオと言われなければ分からない位濃厚でじんわり広がる旨みに初めてならきっと驚きます
カツオというとあっさりしていて、生特有のにおいがありますが全くなくトロのカテゴリに属するお味でした
◆中トロ
青森三厩、藤田水産のマグロ(100~110キロ)
認知度的には大間ですが、私的には時期もありますが三厩に軍配
月並みに言えば蕩ける旨みなのですが、濃厚で蕩けると言うより身自体が柔らかいのです
これは藤田さんのマグロ特有らしく、ふわっとした口当たりは印象深く刻まれます
ですが、一方で酸化も早く扱いが難しいとも・・・
脂のりよりもっと根本的な所で差が出る大変良いお味
◆トロ
旨みが増して更に濃厚に
◆鯖
豊後水道、釣り
しめて5日目、すっきりしたお味です
◆小肌
千葉県船橋のもの
柔かで酢の塩梅が良く後からふわりと香ります
◆太刀魚
前半で天本さんが微笑みながら・・・いきなり長い太刀魚そのまま持ってこられました
東京湾のもの、太刀魚というと夏のイメージですがこの時期にもあり初物だとか
カットの断面がまた美しく少しピンクがかった白
丁寧に焼いてくれた天本さんの自信作、供されると皮から立ち上る芳ばしい香りに包まれます
身はふわとろ、白身なのでこってりはしていませんが山葵を感じない位に最高値まで甘みを引き上げたお味
素材の良さと仕事の両方から美味しさが伝わりました
◆赤貝
大分のもの、今が旬
柔かさと磯の香りはきつすぎず上品です
◇山の壽
いただいた中で一番香り高かったです
丸く甘い香りに甘みがあってもキレが良いお味
◆うに
ちょっと珍しく鹿児島のもの
口溶け良好で特徴は味の濃さ、強さがあるお味をしています
◆海鼠腸巻
お酒のつまみに良く合う海鼠腸、癖はあるので私的には相性が気になる食材です
海鼠腸も良かったのですが、それ以上に上手く癖を上手く包み込んでいたのが木更津の海苔
香りとパリッと感が強く、海鼠腸に良く合います
もちろんシャリとの相性も光り美味しくいただきました
◆車海老
豊後水道、天然もの
相変わらずのキングサイズ、味噌の香りたっぷりのプリッとした歯応えです
◆鮟肝
こちらも天本さんらしい丁寧さが伝わる鮟肝
大変滑らかで口当たりがよく濃厚です
◆北寄貝
裏側を炙ったもの
肉厚で弾力有、柔らかな海の感じが伝わり美味
◆いばらがにの内子
幻の蟹いばらがにからとれた内子の塩漬け、4瓶しかできず全て抑えたとか
少な目に見えるのはお味が濃いからです
とろとろした口当たりで塩分は濃いのですが、ぐぐっと風味が持ち上がってくる力強いお味で他では味わえないものでした
◆穴子
ほわほわで蕩ける硬さは全くない穴子、お見事です
◆お椀
山椒が効いたキリッとしたお味です
◆玉
以前よりスイーツ感が増していました
甘みもあり女性なら喜んでしまうお味です
◆カラスミ
甘みと旨味のあるお味でお酒と一緒にいただきました
お土産にばらちらしをお願いしました。
◆ばらちらし
鮪、穴子、玉、ガリ、白魚、スミイカ、いくら、鰤、蟹の雲丹和え、雲丹、菜の花の豪勢な内容
翌日美味しくいただきました
天本さんに負担がなければまたいただきたいちらしです
改めて素敵な出会いに感謝しつつ、次回は6月です。
<2016/11>
◆長崎大室湾のもずく
細めのもずく、歯切れ良く酸味が丁度よく緩やかなスタート
◆山口萩のバイ貝
出汁の取り方や優しく、濃くありません
身は柔らか、それに増してワタが甘く美味
◆海鼠子の茶碗蒸し
能登の海鼠の卵巣、海鼠子を軽く塩漬けにして浅利の茶碗蒸しの上にかけたもの
浅利の出汁がふわりと香る、塩気も強すぎずあてにぴったりのお味
◆北海道仙鳳趾の生牡蠣
おおきめの牡蠣、酢橘を絞っていただきます
こちらが驚くほど美味
私的には生牡蠣は塩分が強くて癖を感じてそこまで好みではありませんでした
こちらのはクリーミーさが先にきて水の様に溶ける程とろとろ、塩分はふわり位のアクセント
綺麗で真っすぐなお味なので癖はなくコクが強く甘く、余韻として濃厚さが残ります
普通の生牡蠣との違いは、現地の取れたての状態で殻をすぐ剥いて真空状態にしてるということ
それにより塩分が牡蠣に入り込み過ぎずしょっぱくならないそうです
◆長崎県壱岐の迷い鰹の漬け
戻り鰹ではなく迷い鰹、軽く漬けになっていて鰹本来のお味を大事にしています
鮪に似ているとも言われる迷い鰹
最初はあっさりした入り口、後から広がる濃厚さがありました
◆長崎のノドグロ
最低3日寝かせたもの、脂乗りが素晴らしく囲炉裏で焼いていたら煙が出過ぎてダクトはしっかりしているものの火災報知器が鳴ってしまった代物
因みにこれで2日辺り連続とのことで天本さん焦っていらっしゃいましたが私たちにとっては良い思い出・・・
箸を入れるとじゅわっと脂が溢れ出すふわとろのノドグロ
酢橘を絞っても無効化になるほど濃厚
ですが脂は綺麗、重くなくいただけました
◆馬糞雲丹×津蟹味噌小丼
根室の漁師が北方領土まで馬糞雲丹を買い付けに行き、オスだけ選りすぐったもの
よって濃い色に歓声が上がります
和えるのは唐津の津蟹味噌、上にロシア産オセトラキャビアを乗せて供されました
馬糞雲丹と津蟹味噌が甘めなため、キャビアの塩分が引き締めます
酢が効いたシャリも合っていて美味しくないはずがありません
とろんとした雲丹に歯応えを残した津蟹味噌、黄金の組み合わせで贅沢で美味
◆ミンククジラの尾の身
珍しいおつまみが続き、今度は尾の身
現在は最高級部位とされる即ち尻尾の部分
甘口醤油でいただきます、甘くて弾力がありさっぱりしています
◆白子
強いお味、質はとても良好
纏わりつくような濃厚さがありました
◆玄界灘のアズキハタ
福岡玄界灘で獲れた3.8キロ
2キロで大物と言われるのでかなりの大きさ
アズキハタと言えば初夏、それをこの時期にこの大きさのものがいただけるとは驚き
絞めてはおらず、酢橘だけ絞ってそのままでいただきます
素晴らしい強い弾力に噛むと広がる甘みと濃厚さ
噛むほどにお味が深くなり変化が楽しめるお味、とても美味
◆神戸の鯵
葱と薬味を挟んだだけで塩も何もつけず鮮度をそのままで勝負したにぎり
さっぱりの後から徐々に旨みがでてきて後から新鮮な鯵の香りが漂います
◆北海道増毛のボタン海老
尾が上がり見た目からぷりっとした食感が分かる立派なボタン海老
甘く、強すぎないねっとり感、まったりしたお味です
◆宮城県七里ヶ浜の活シャコ、酒盗漬け
活シャコを生きたまま-60度で凍らせ戻した後に塩を振り、鰹の酒盗のホヤの塩辛、みりんと酒に漬けるという手の込んだおつまみ
シャコのプリプリとした食感がたまりません、あてになる塩分で良さを堪能するためにお酒をお願いしました
■賀茂金秀
まだつまみは続きますし、良さを味わいたいのでお酒を追加
低めなものをお願いしたので13%、キリッとしてして爽やか綺麗で飲みやすいお味
◆噴火湾の鮟肝
思わず箸を入れてしまい撮影できず・・・そうしたら両お隣様が撮影にどうぞとの嬉しいお声がけ
回りのお客様に恵まれ撮影できました
入り口はライトですが後に生クリームみたいなリッチな味わいに
綺麗な濃厚さがある鮟肝
◆銚子の金目鯛漬け×松前昆布
松前昆布とスルメをいれた漬け、最後に上に松前昆布を添えて
弾力から始まり、甘味と漬けの深いお味と金目鯛特有の脂乗り
ここで終わらず最後に乗せてある松前昆布が香りに幅をもたせます
普通は無い組み合わせですが面白く、美味
◆壱岐のしめ鯖
4日間寝かせたもの
酢は強すぎず、流れから見て目立ち過ぎないお味
◆東京湾の小肌
こちらも酢は強すぎずマイルドさがあり通常は強めをいただいていますがこれ位の旨みのあるものも美味
◆久慈のヒラマサ
ブリ属3種の中で最も漁獲量が少なく知名度が低いヒラマサ
身は柔らか、普通はどちらかに傾いてしまう酸味と旨みですがこちらはそればなく、バランスがベスト
玄人の方が好まれそうな粋なお味をしています
◆佐島のアオリイカ
500グラムのアオリイカ
リリースしないといけないグラムではと言うお話は置いておきます
酢橘とお塩でいただきます
鮮度よく活〆ということもありものすごく引き締まっています
活〆でもここまで身が締まっているものは少なかった印象
ねっとり感は強すぎず、甘みが漂う感じで嫌みさがありません
◆福岡鐘崎の生鰆
部位はお腹の方、炙ったり一切せずなんと生
にぎりの途中で鰆を常温に置き脂を出していきます
脂、甘み、旨みが凝縮
かと言って大胆なお味ではなく繊細さもあり
鰆はこれから冬に向かってがベストシーズンにも関わらずこの時期でこのクオリティは素晴らしいの一言
何も手を加えず、そのままで堪能したいお味
◆紋別いくら×浜中馬糞雲丹
昆布出汁香る、馬糞雲丹の甘さが引き立ち塩分は丁度よい相性抜群の組み合わせ
◆豊後水道の天然車海老
大きな天然車海老
レアタイプではありませんが、味噌付きで満足度があります
◆三浦半島鴨居のカワハギ
肝を挟むのではなく上に乗せるという細かいですが他ではない試み
天然でなければ流れ溶けてしまうものだそう
カワハギは淡泊で良い弾力
肝は形を保っているのですが、口内温度で水の様に溶けていきます
香り良く濃厚ですが綺麗、口溶けが優れていて素晴らしいの一言
◇マグロは大間一本釣り102キロ
◆血合いぎし
旬に拘りぬいた血合いぎしで明日には全く別物になってしまうほどとのこと
血合いぎしらしく濃厚さはありますが、フレッシュさも同居しています
◆砂ずり
砂ずりの割にはややさっぱりしているかと思いきやグッと盛り上がりをみせます
盛り上がった時の濃厚さ旨みの強さは随一
流れがあるお味で美味
◆赤身
サクッとしていて甘みがあり、鉄分は少なくソフトでいただきやすいお味
もちろん水っぽさはありません
◆対馬の穴子
塩かツメかを選択でき両方お願いしました
半分に割るのかと思いきやこちらのは二貫として供されます
こちらの穴子の特徴はふわっふわなこと
手だと崩れてしまうので箸でいただきました
甘さが綺麗で噛むのも忘れるふわふわ度
どちらも美味しいですがツメの方が記憶に残りました
甘過ぎず主張し過ぎずパリッとした皮の香ばしさが引き立ちます
◆椀物
ノドグロと鯛の骨でとった椀物
ソフトで濃すぎず優しいお味、良いお味
こういったところにも純粋な鮨屋と違う丸みがあります
◆玉
DETAIL DATA
アクセス、営業時間など
- 【店舗名】
- 東麻布天本
- 【住所】
- 東京都港区東麻布1-7-9
- 【営業時間】
- 18:00~0:00
- 【定休日】
- 日