都内一と評される比内鶏親子丼の人気店。つくねや希少部位ソリレス等も必食です

2012年オープン、新宿御苑前駅から5分程。花園公園近くにある比内地鶏料理を使った親子丼が絶品と言われる泰然。

比内地鶏は名古屋コーチン、薩摩地鶏と並ぶ日本三大美味鶏の1つで秋田の名産。
現在は認証制度規定要件に満たしていなければ比内地鶏ブランドを名乗ることはできません。
規定要旨を概括すると比内鶏×ロード種の一代交雑種、1平方メートル5羽以下で平飼いか放し飼いでの飼育、雌はふ化から150日間以上・雄は100日間以上を満たすこと。
それをクリアした比内地鶏は肉の味が濃く美味として知られています。

当店はその比内地鶏と比内地鶏の卵を使用したとろとろの親子丼が有名。
普通の親子丼との差は歴然で、あまり親子丼をいただかない方でも感動し都内一の親子丼とも評されます。

昼夜営業に分かれていて、お昼は特製比内地鶏親子丼と比内地鶏のそぼろ丼の2種のみ。
スペシャリテは親子丼ですがそれと並んで評価が高いのが比内つくね温玉添え、他にも比内地鶏尽くしのメニューが並ぶのは夜しかありません。

是非夜訪問したいと思っていたお店の1つ。
平日の前日突然スケジュールに空きができ、お席と予約制のプリンについてお電話させていただきました。
予約についてはカウンター席が少ないためなるべく抑えた方が良い、予約制のプリンは3日前程度に予約が必要とのことでした。
電話対応は明るくとても好印象、お席を予約し平日の夜オープン17時に伺いました。

外観は紺色の日除け暖簾に白文字明朝体「秋田比内地鶏」の文字が目印。
店舗から見て正面には上海料理の名店シェフスがあります。

カラカラと引き戸を開けるとすぐにL字カウンター8席、カウンター奥の暖簾越しには多人数向けのお座敷。
スタッフは、ホールに細身の綺麗な女将さんと若い女性、板場に女性1人の3人体制。
既に常連の女性がお1人カウンター奥でお食事を楽しまれていて、感じの良い女将さんに案内されカウンター席へ。
左に視線を送ると比内地鶏ブランド証が飾られていました。

こういう個人店は雰囲気に馴染めて会話を楽しめるか否かで満足度は違うもの。

そんな中私は割烹コースばかりで一品ずつオーダーする和食店の経験は皆無。
不安もありましたが結果としては比内地鶏のお話だけでなく何気ない会話で盛り上がり一見でも大変楽しい一時を過ごせました。

接客はどなたも明るく感じが良い方ばかり。
一体となって楽しむのも良し、1人でゆっくり楽しむのも良し。
無理に会話へ引き込もうとはしませんが、こちらからさり気なく話しかければ自然に輪に入れてくれます。

お店からは良いお酒はいただくだけでなく、常連様からもお酒やお料理もけっこういただきお腹いっぱいになり長い時間滞在したにも関わらず申し訳ないお値段に・・・

ゆっくり楽しんでいただきたいというのがお店の意向で皆さん程よいテンポでお食事をされています。
立て続けにオーダーするのではなくお店の方と会話をしながらおすすめを聞き、自身でメニューを頼みお食事の形を決めていく。
その間の取り方、雰囲気の一体感を常連様から教えていただきました。

因みに女性1人でもお問合せはありますが、実際女性1人で初訪問はまずいないそう。
ですが常連様ばかりでも疎外感は全くなく、こちらから少し近付けば温かく迎えてくれてお料理以外にも得られることがたくさんあるお店です。

この日の調理は主に板場に立たれている女性で途中から大将もいらっしゃいました。

この女性が手際よく焼きもお料理も全て1人でこなされます。
大将が出勤されても板場に立たれ調理を続けるお店から認められている方。
20代前半とお若いのですがとてもしっかりしていて会話も上手く、将来お店を持つのはこういう方なんでしょうかと思ってしまう程でした。

比内鶏については、パサつきはないことは予想していましたがお味の濃さには驚き。
部位によって地鶏としての濃さがあったり、または肉としての濃厚さがあったりとお味の違いが楽しめます。

早い時間帯に訪問すれば希少部位もあります。
お造りやその他のお料理も充実していておすすめはボードに書かれ毎日変わり、地鶏メニューも幅広く訪問を重ねても楽しめそうなお店でした。

以下が当日いただいたお料理です。

比内つくね温玉添え

大きなつくねを炭火で各側面から火入れをして丁寧に仕上げてくれます

つくねの入り口はソフトで甘く、じゅわっと溢れる肉汁
それは牛肉等と違いさらりとした旨みでふっくら時々こりこりとした歯応え

中心になるほど柔かに、少し表面よりレアになりますがもちろん火自体は通っていて加減が絶妙

たれは親子丼と共通項のある甘めのお味ですが良く合います

温玉は比内地鶏の卵、コクがあって相性良好

たれの香りもとても良いので、お腹いっぱいになっても他のお客様がオーダーされると追加したくなる魅力もあります

お肉の良さを大事にしているお味で焼きからも優しさが伝わりほっこりするつくね
常連様もこれは外せないとおっしゃる一品です

 

<一羽につき1本しかとれない希少部位をご紹介いただき、初心者の旨伝えると比較しやすいふりそでとソリレスが良いかもと焼いて下さいました>

ふりそで

手羽元と胸肉の間の部位のこと、皮付きです
お味をダイレクトに感じるために味付けは軽くお塩のみ

皮はパリッ音がして芳ばしく焼かれていて美味

お肉はとてもジューシーでじゅわりと溢れてお皿に零れ落ちます
よってパサつきとは全く無縁

噛むと広がる甘み、通常の鶏肉に比べるとお味はしっかり
ですが濃厚とも違いお肉のお味が凝縮した様な濃さで皮とのコントラストも楽しめ美味

ソリレス

味付けは塩胡椒

お味には驚き、鶏肉の範疇ではありません

ふりそでよりややワイルドな食感でとても濃厚
噛むほどに強力な旨みが引き寄せてきて、鶏肉＝さっぱりの概念を覆す肉肉しさがあります
余韻も強くお肉をいただいた満足感が得られ、ですが一方で牛肉の様な重さはありません

強いお味ですがベースには鶏肉の良さも残っていてとても美味
また是非いただいたいお味です

親子丼<ハーフ>

卵はふわふわ半熟、比内地鶏のジューシーさとも合わさり輝くような親子丼

たれは甘めでコクがあるしっかりしたお味

つくねでもそうでしたが、たれのお味は割と強め
ですが、比内地鶏の旨みが負けないのが素晴らしいところ
比内地鶏のお味に自信があるからこそできるからこそできるたれの濃さ

親子丼の皮は普通はむにゅむにゅしていてあまり食感は良くなくハズレと思ってしまうもの
当店は先に皮を炙ることによりそれを回避
焼き鳥の時と同じ様にパリパリ音を奏で芳ばしいお味はむしろ皮が好きになってしまう位です

口当たりは見た目通り水分量に溢れ、とろんとしたこちらも強いお味の卵に絡む一切パサつきのない柔らかな比内地鶏

卵のお味も濃く、比内地鶏も濃く、たれも濃い
高め合う様に交わる濃さですが塩っ辛いとは違うコクがあり旨みのある親子丼です

 

<以下はお店・常連様からいただいたもの>

スルメイカの肝和え

常連様からいただいてしまいました
スルメイカは旨みが強く絡む肝は最高のおつまみ、茗荷が良いアクセントとなり肝の癖も感じません
お値段もリーズナブルで美味しくいただけお酒が進みます

芋焼酎きろく

こちらも常連様からいただいてしまいました
芋焼酎、特有のにおいもなく弧を描くように香り飲みやすくたくさんいただいてしまいました・・・

大吟醸 十四代 播州山田錦

芳醇な甘みと香り、さらっと入ってきますが刺激なく滑らかなヴェールのある舌触りに変わります
後味は綺麗なので次々飲めてしまいとても美味
知られている銘柄ですが、思わずコメントを残したくなるお味でした

 

親子丼は評判通りの美味しさですが、ジューシーなつくねも絶品。

私的にはお肉好きならダイレクトに伝わる希少部位ソリレスがおすすめ。
焼き鳥は塩胡椒の味付けなので肉のポテンシャルを感じやすく親子丼より気に入ってしまったかもしれません。

春先には期間限定で高島屋への出店もあるそう。
美味しい比内鶏と常連様、お店の方が造る温かな空間にまた訪問したくなる余韻を残してくれました。