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神楽坂 石かわ

神楽坂 石かわ

星2つ半が平均

グループ率いる三ツ星総本山。肩肘張らずに安定したお料理と接客で過ごす一時

2003年オープン、飯田橋駅より8分程。善国寺裏手付近にある人気和食店虎白、蓮を束ねるグループ総本山、そしてミシュラン三ツ星でもある石かわ。

代表は石川秀樹氏。
2009年から連続してミシュラン三ツ星、都内で和食料理店を訪問される方は知らない人はいない超有名店です。
この一門は一龍三虎堂と呼ばれ、虎白もミシュラン三ツ星を獲得。
素晴らしい逸材を輩出している本店ですが最初から順風満帆だった訳ではなく、石川さん自身も異色の経歴を持たれた方。
料理人を目指すきっかけも手の職がつき尚且つ対面営業が無さそうだったから、とフレンドリーで人間味溢れる石川さんからは想像できません。

まだ未訪問だった石かわさん、この度平日のディナー開始時刻の17:30~の会に初訪問してきました。

場所は早稲田通りの神楽坂善国寺の横道を入った所に位置し、外観は黒塀で囲まれた品のある佇まい。
エントランスには番傘が置かれ、水打ちされた長細いアプローチ奥には「けっこう長生きなんですよ」と石かわさんが仰った立派な金魚が泳いでいます。
アプローチの右側の引戸を開ければお弟子さんが丁寧に迎えて下さいました。

入って右側がカウンター、奥が個室の様。
一枚木のカウンターは風格があり、シンプルで落ち着いた空間。
堅苦しさはなく初訪で1人でも緊張することはありませんでした。

カウンターにはお弟子さんが数人いらっしゃり、序盤はお弟子さんからの提供となります。

カウンターから下駄の音が聞こえたら石川さんがいらっしゃる合図。
飄々とした雰囲気の粋な方です。

カウンターには常連様が多く、もちろんその方々を中心とした接客になりますが石川さんとも適度にお話ができました。
お食事は石川さんから振る舞われるのが決まりになっているらしく、お見送りも出てきて下さるのでせっかく行ったのに大将と話す機会が一度もないということはありません。

お料理の提供のテンポはとても良く、等間隔に提供されるので手持無沙汰になることもありませんでした。
石川さんご自身はピリピリした所は一切なく、全体的に安定した接客でベースの盤石さを感じさせます。

お料理自体はくっきりした味わい、徐々にではなくスタートから石かわの世界が展開されていきます。
くっきりしていると言えば、晴山もそうですがあちらの方がシャープで出汁の個性が主になっている気がします。

石かわは和の形を抑えていて、東京和食らしくそして皆さんが美味しいと思える王道さが軸になっている印象。
細やかな香りにフィーチャーするというより、お味と刺激をストレートに感じながらいただきます。
ですが、お料理の説明を求めると独創的な手法をとっている意外性もあります。

和やかな空気の中いただいた石かわの世界色を彩ったお皿達以下となります。

◆先付け 伊勢海老

炙った伊勢海老に味噌、アスパラガスとオクラを添えたジュレがけ、柚子の香りを纏わせて

甘さもありますが酸味もある、ライトというより落ち着きのある和のジュレ
「和の美味しさ」を具現化した様な味わい

ぷにっとした伊勢海老は火入れ良好で芳ばしくアスパラガスはジューシー
主張されたジュレにも関わらず、味噌のお味が負けていないのは驚き

スタートは柔らかなお店が多いですがややしっかりめですが素材の力強さも感じる一皿です

◆焼物 琵琶湖の稚鮎

サクッと揚がった稚鮎に空豆揚げを添え、木の芽のジュレをかけたもの

稚鮎は苦味も甘みも両方しっかり伝える滋味深いお味
揚げが優しいのでダイレクトに旬が伝わります

空豆揚げはほっくり甘くこちらも美味

木の芽のジュレは、強い木の芽の香りを抑え程よい香りと刺激を演出します

◆椀物 鼈の沢煮椀

沢煮とはたくさんの食材を合わせ入れたもの、千切りになった具材が椀を埋め尽くします
出汁と塩分、ほんのり生姜の香りに柚子が交わるしっかりした味わい

◆お造り 真子鰈と函館の雲丹

仄かに昆布締めをした真子鰈とミョウバン不使用の新鮮な雲丹

甘く弾力がある真子鰈
海苔と紫蘇、茗荷を合わせていただきます

◆お凌ぎ 蛍烏賊の飯蒸し

柔かな蛍烏賊の上には少量の生姜
飯蒸しは柔らかで適度な水分と日本酒の香り

◆蒸し鮑と肝ソース

柔かな鮑に海苔を合わせた肝ソース

肝ソースが特に美味で、肝としての風味を残しつつも全くにおいがありません
お聞きすると肝に卵黄と醤油を合わせたもの、クリーミーで美味です

残さずにいただきたいと思っていたら炭火焼きパンが程なくしてサーブされ、最後まで美味しくいただきました

◆焼物 太刀魚

ふわとろの太刀魚に大きなジューシーなアスパラガスを添えて
安定した美味しさです

◆焼物 和牛と蓮根餅

和牛は、薄く切られていてうっすら温かく食感が絶妙
生っぽくなく、ですが通り過ぎていないとても繊細な着地点にあります
計算された美味しさにとても甘い蓮根餅
素材を巧みに操る業が生きています

◆蛤の小鍋

ぐつぐつと音を立てながらサーブされました
中には葱、若芽、木耳や豆腐等入っています
柔かな生姜の香りに包まれ、いただき終わる頃には体がポカポカに
基本1人なので鍋はあまりいただくことがなく、嬉しいお味

◆お食事 櫻鱒の炊き込みご飯

甘い櫻鱒にしっかりした味付け、風味ではなく舌に感じる山椒の刺激
ご飯は柔らかめです

残った分はおにぎりにして下さり、翌日いただきました
風味落ちも感じず、しっかりした風味が功を奏し単体でいただいても満足感のある味わいでした

◆甘味 ココナッツソース、黒蜜寒天に苺、ラム酒ジュレをかけて

とろんとしたココナッツは風味良好、冷たい苺に添える華やかなラム酒の香り
黒蜜寒天が和の軸に戻すので、洋には向いていきません
どのお皿も形を成しているお味なので、甘味も同様
一皿として勝負しても美味しく、本業とするパティスリーでも敵わないお味


個性よりも安定感があり、どれもぶれなく王者の風格。
ですがその中にもありありと表さない遊び心もあり、この点からも芯がある自信を覗かせます。

お料理の説明は率先的にはされませんが、質問をすると丁寧に返して下さるので食の見地も広がります。
石川さんも面白く、広い方なので通ってみると違う世界が見えてきそう。
一見にも1人利用にも優しい、リラックスして三ツ星お料理が体験できる一龍三虎堂率いる石かわでした。

DETAIL DATA

ico

アクセス、営業時間など

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