メニューはシチュー、グラタンのみ。創業60年以上衰えない人気の熱々土鍋ビーフシチュー

1955年創業、東銀座駅5番出口から2分程。和のビーフシチューが息の長い人気誇る銀之塔。

場所は歌舞伎座エリアにあり、お店は本店と別館の2店舗。
本店は歌舞伎座から2本小道を挟んだところに、別館は歌舞伎座裏の小道を行ったオムライスで有名なyouの隣に位置し本店と別館両店は地図上で見ると裏手にあたります。
また京都祇園にも銀之塔というお店がありますが、これは当店の暖簾分けの店舗になります。

創業者は平井光子氏。
ビーフシチューが生まれたのは、歌舞伎座に通われていた有名作家からシチューの存在を教えていただいたのがきっかけ。
その後本格的にビーフシチューを学ぶため渡仏。
現在は日本にも支店があるグランメゾン「トゥール・ダルジャン」で研鑽を積み、レシピを伝授された後帰国、銀之塔をオープン。
こう言った流れから店名の由来はトゥール・ダルジャンの和訳、銀之塔となりました。

伝授されたレシピを和風にアレンジしたのがビーフシチュー。
18種類の素材を使った秘伝ソースは作るまでに約3日間、そこに松坂牛を入れとろとろになるまで煮込み土鍋で供されます。
和風出汁で仕上げるので一緒にいただくのはパンではなく白米。
お通しもひじきや切り干し大根等の和食。
もちろんいただくのはフォークではなくお箸、日本を強く意識した一品です。

以前から気になっていた当店、ビーフシチューをいただきに平日の18時頃初訪問。

突き出し看板が大きく目立つので迷うことはありませんでした。
引き戸を開けるとスタッフの方が明るく迎えて下さいます。
女将さんと思われる女性を中心に3人程の若いスタッフ。
お店の規模から考えると人数は多く、皆様よく気が利いていい方ばかりです。

3階まであるようですが、お席に空きがあり1階のテーブル席へ。
内装は昔ながらの洋食店の雰囲気、生活感があり室温は高めでした。

当店は元々戦前の蔵を改造したもの。
1階の中心部には蔵の名残の鉄扉があり、それが仕切りのようになって2セクションに分かれていました。

メニューはグラタンとシチューのみ。
グラタンは1種類のみですが、シチューはビーフ、タン、ミックス、野菜の4種類があります。

グラタンとシチューを組み合わせたセットもありますが、今回はシチューをメインに考えミックスを選択。

不織布のエプロンとお茶は温かいほうじ茶、一緒にお通しとしてひじき、切り干し大根、ぜんまいの煮物、香の物が運ばれてきました。

ミックスシチュー

10分ちょっとで運ばれてきました

白米はおかわり自由
小皿に入ったお通しのお味は濃くなく、少量で少しずつ楽しめます

ビーフシチューは土鍋からグツグツと音を立てて大きな気泡が弾け、エプロンをつけていないと跳ねてしまう位に煮えたぎっていました

具材はビーフにタン、えんどう、玉ねぎ、シャトー切りになったにんじんとじゃがいも

口当たりはかなりのさらさら系でどろっとしたところは一切ありません

スプーンで掬うと底までお野菜がごろごろ見えますが、お肉はそれ以上にたっぷり

じゃがいもやにんじん等は柔か過ぎず素材のお味を残しています

ビーフとタンは厚切りで存在感抜群、大変柔らかでシチューのお味が染み込んでいました
どちらとも柔らかいですが、特にタンが秀逸でタンもとも入っているのかとろとろ

こってりとは真逆のビーフシチュー、あっさりした入り口からコクが下の方から持ち上がり広がっていきます
香りが良く旨味はありますが強烈ではありません

ご飯との相性は最高に良く、合わせるのはご飯と想定してレシピを改変していった様なお味
長所が際立ち安定感のある美味しさになります

これをパンで想像してみると・・・いまいちピンときません
繊細な香りや旨みが小麦に負けてしまいそうですし、さらさら系過ぎてパンに染み込んでも絡みそうにありません
パンはお出ししないというお店方針がよく分かりました

鍋底にはおこげがあり、合わせると程よい苦味があるお味に変わりこちらも美味

ご飯がすすむお味で、普段はおかずだけでも良いと思うことがありますがこのシチューにはご飯は欠かせません

土鍋なので最後まで冷めず、体はぽかぽかになりました


ビーフシチューはこってりしていて苦手・・・という方もきっと気に入っていただけそう。
コクの広がり方がダイレクト過ぎず日本の良さ、繊細さがある洋食。
お値段は2600円と少々お高めですが、良質なお肉と上質なさらっとしたコクのあるビーフシチューは他にはない品がある逸品です。
日本のビーフシチューとして誇れるお味、このまま変わらず守っていただきたいと思う綺麗なビーフシチューでした。