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Binowa Café

Binowa Café

星2つ半が平均

とてもレアな世界の郷土菓子を月替わりで楽しめます

2016年オープン、明治神宮前駅から8分程。世界32ヵ国300種類を超える国々の郷土菓子を月替わりで紹介するBinowa Café(ビノワカフェ)。

バーズラーレッカリー、チュルチヘラ、シェチェルブラ・・・呪文の様な聞いたこともないもちろん見たこともないお菓子が並び世界の郷土菓子を視覚と味覚で体験できる稀有なお店です。

オーナーは郷土菓子研究社の林周作氏。
びわ茶を主力とびわを連想させるモノトーンデザインの商品を販売するBinowaとの共同経営でBinowa Caféをオープン。

林さんは88年生まれとお若いのですがフレンチ・イタリアン料理過程を卒業後、世界の郷土菓子を知るため断続的ではありますが2012年~2016年初めまで世界を自転車で横断。
使えるお金は1日たった5ドル、宿泊先は現地のお家というハードな環境の下で32ヶ国300種類以上の郷土菓子に触れ、作り、地元の方々と触れ合いながら造詣を深めていきました。

たくさんの素敵な詰まったビノワカフェに平日の15時頃初訪問しました。

お店は明治通りを一本入ったところにあるビルの2F。
ビルの外観に飾られた写真とチョークの文字でお菓子メニューの紹介している大きなブラックボードが目印。
エレベーターはないようで、壁に飾られた初めて見る郷土菓子の写真を見ながら店舗へと続く階段を上がります。

店内は白×茶のナチュラル系、同フロアにビノワカフェと同年にオープンしたインテリア・アウトドアグッズElgotの商品が上手く溶け込む様にディスプレイされていました。
お席は木のカウンターテーブル席、ホワイトのテーブル5卓程度、テラス席がありカウンターテーブル席へ。

滞在時来店されるお客様は全員リピーター様、ナチュラル系の女性が多めでした。

オープンキッチンとなっていてガラス越しに置かれているのは月替わりの郷土菓子3種類とレギュラーのテイクアウト用お菓子たち。

迎えて下さったのは林さん。
24歳で世界横断をされる方なので、アグレッシブな雰囲気かと思えば爽やかでどちらかというと控えめな方です。

当店のことを概括すると見たことも行ったこともまずない様な国のお菓子をいただくことができ、毎月変わるので新しい発見が常にあり、洗練された街とインテリアに囲まれて一時を過ごせるカフェ。
下世話なお話ですがビジネスと捉えたらこれほどキャッチーなものはありません。
ですが、林さんはあえてテレビ出演を断り、駅からやや離れ階段で上がる2階という利便性を選ばな場所で営業をされています。
それは以前高円寺で期間限定カフェを開催した際にテレビ出演をし、3時間待ちになったという経験から。
今までのお客様を大事にされる観点から、ただ広げるのではなくお客様と郷土菓子への真っすぐな想いと林さんの人間性がお店の方向性を現しているようでした。

林さんはお菓子の質問をすれば丁寧にゆっくり答えて下さり、当然のことながらその引き出しの多さには驚くことばかり。
聞き返してしまう単語も多々で、得られることが多いです。
普通のパティスリーと違い「通う楽しさ」があるお店で毎月新しいお菓子に触れ、ライトなコミュニケーションしつつ通う程に面白さが発見できそうなお店です。

お味についてですがアレンジもありますがなるべくその国のお味に忠実に表現しています。
ですので、もし合わないと感じることがあったならば単にその国のスイーツが合わないだけかもしれません。
よって一般の焼き菓子との比較評価とは異なり、世界のお菓子というフィールドで楽しむのが当店となります。

2月の郷土菓子はバレンタイン月ということでチョコレートが多め。
月替わり郷土菓子はガトーナンテ、ロジャータ、クルフィそれぞれのショコラテイスト、その隣にテイクアウト用のシェチェルブラ、べサン ラドゥ、バーズラーレッカリー、フィナンシェ等が置かれていました。

ガトーナンテとはフランスブルターニュ地方のアーモンド生地にラムを入れたリッチな焼き菓子
ロジャータとはクロアチアドゥブロブニク地方のロザリーというお酒をたっぷり効かせた硬めのプリン
クルフィとはインドの溶けにくい牛乳のみで作るアイス

オーダーはガトーナンテとロジャータ。
ドリンクはびわ茶とコーヒーがありびわ茶にしました。

いただく順番をお聞きするとロジャータの方が繊細なお味だということで最初はロジャータです。

ロジャータ

ショコラ味のロジャータ、通称酔えるプリンとも呼ばれるリキュールを効かせたプリン
生地にはオレンジリキュールとロザリーの代わりにグランマルニエを加え、底のソースはココア味のキャラメル
提供時にココアを振りかけ提供されました

最初はオレンジリキュールの香りが持ち上がり、卵のお味とグランマルニエが合わさります
ココア味のキャラメルはほろ苦さ前面に出した大人味
ショコラはカカオなのでチョコレート味のプリンではありません

素朴かつ家庭的ではありますが普通の甘いプリンに比べると甘さ控えめで綺麗なお味、すっきりした後味です

ガトーナンテ

ショコラ味のガトーナンテ、通常はアーモンドケークにラム酒を入れアイシングをした焼き菓子ですが、アレンジとしてケークにショコラを入れて上にカカオニブを散らしています
ラム酒の量は多く、ケークを焼き上げる前にラム酒を混ぜ、その後にもラム酒を染み込ませ、アイシングはラム酒と粉砂糖のみというリキュール尽くし

スプーンを入れると厚めのアイシングのシャリッとした音から閉じ込められていたラム酒の香りが溢れ出します
生地は少しパサッとしているものの、アーモンドとショコラの風味と上の強力なラム酒の香りが一体化して容赦ない程にリキュールで包まれます
リキュール入りといっても香り程度のところも多いですが、こちらはダイレクト
使用する素材はシンプルに余計な手を加えておらず、甘さはありますがリキュールが際立っています
ガトーナンテのショコラテイストなのでショコラを中心に据え過ぎていないのが郷土菓子への表現を感じ、「郷土風」には仕上げていません

ナチュラルな作りなので後で残る甘さは特にありませんでした

びわ茶

香り良く、びわ本来のほんのりした甘さがありお味は強くないので相性良好です

 

今回お店でいただいたお菓子は特にスパイスを多用したものではありません。
お聞きすると個性があるのがテイクアウト菓子とのことで特に郷土らしさを持っているというシェチェルブラ、バーズラーレッカリー、ベサン ラドゥを購入させていただきました。

シェチェルブラ(下)

アゼルバイジャンの最も有名な焼き菓子

原材料は小麦粉、バター、卵、粗糖、クルミ、カルダモン

小麦粉とバター、卵の無糖の生地でフィリングのクルミと粗糖を包んだ餃子みたいなフォルム
表面の模様はシェチェルブラ専用のピンセットで表現しています

生地は小麦粉と卵の香り漂うプレーンさを引き立たせるお味、パサついてはいません
フィリングはぎっしり、零れるシャリシャリした粗糖を中心にクルミの芳ばしさとカルダモンが後から効いてきます

粗糖を使う意味があり、シンプルだからこそコクと風味の強さが長所となりお味を引っ張ります
確かにいただいたことはないお味ですが、複雑化はしていないので馴染めないお味ではありません
素材がそのまま生きていて、特に味付けてないので甘みも必要以上感じさせない作りになっていました

 

ベサン ラドゥ(左)

祝い事やヒンドゥー教の行事に欠かせないという飴の包み紙入った丸い粉もの菓子

原材料、生地のベースはギー(発酵バターを煮詰めた乳脂肪)とベサン粉(ひよこ豆の粉)に粉砂糖を合わせたもの
黄色の包み紙はカルダモン、カシューナッツ、レーズン入れた伝統レシピで、赤の包み紙はシナモン、クルミ、イチジクを入れたオリジナルレシピ

いただくとほろっとしていますがバターが効いているのかしっとり系
落雁の様と書かれていますが、確かに似ていて私的な感覚ですとさらさらとダマなく綺麗に広がるきな粉みたいなお味です

生地は徐々にひよこ豆とバター風味の強さがでてきて、日本人の味覚にも近いお味
カルダモン、カシューナッツ、レーズンはフィリングではなく練り込まれていて、ナッツの芳ばしさ、カルダモンはサポート役でした
対して、シナモン、クルミ、イチジクはイチジクの風味が強いので上記ほど生地のお味は強くありません
日本人向けになっていて、アレンジされたのが分かるお味です

郷土を感じるのはカルダモン、カシューナッツ、レーズンの方
中々面白く満足度高いお菓子です

 

バーズラーレッカリー(右)

スイスバーゼルのスパイスとナッツを使用した少しヌガー感のあるクッキー

原材料は小麦粉、蜂蜜、砂糖、オレンジピール、レモンピール、アーモンド、キルシュ、シナモン、グローブ、ナツメグ、粉砂糖、ベーキングパウダーと一番使用されているスパイスは華やか

封を開けると強いシナモンの香り
柔かで粘着性があるクッキーで風味はオレンジピールとナッツが効いていて、その後からグローブ、ナツメグが香り引き締めます

甘さはしっかりめですがスパイスがアクセントになっているので甘ったるくはありません

食べ応えがあり、この中で一番香り高いお菓子です

 

1ヶ国のみの郷土菓子を提供してくれるお店はありますが、各国を網羅するお店は出会ったことがありませんでした。
郷土菓子を説明と共にいただけ、お味だけでなく体験としても貴重な時間を過ごせます。
CPは求められませんが(シェチェルブラ1個でも400円程度)、きっとまだ知らないお菓子に出会える場所。
雰囲気も温かくのんびりした空気で居やすく、月を変えてまた訪問したくなる世界の郷土菓子店でした。

DETAIL DATA

ico

アクセス、営業時間など

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