​元祖グラパンのお店。食パンの中には熱々のクリームシチューがたっぷり

1972年創業、鶯谷駅から5分程。グラパンとクリームソーダの人気店DEN。

グラパンを作り出したとしてテレビ、雑誌でもよく取り上げられる有名店です。
グラパンとは食パンの中心部分をカットした中にシチューを注ぎ込んだもの。
他の喫茶店でも見るあの壮観なメニューは、当店が発祥で実はわざわざ考案した訳ではなく偶然の産物。
賄いで出されていたグラタンをいただこうとしたらグラタン皿がなく代わりに食パンを使用したのが始まり。
今ではお店の揺るぎない人気メニューとなりました。

グラパン以外にも名物があり、それはクリームソーダ。
名前は普通ですがヴィジュアルは一風変わっていて、クリームソーダの上にコーンが逆立ちして乗っているもの。
逆さまになったソフトクリームが印象的なメニューです。

お店の場所は言問通りを越えた永稱寺や西念寺等の寺院が点在する近くにあります。
外観は黄色店舗テントにソフトクリームコーンディスプレイが置かれた昔ながらの喫茶店ですが、休日には待ちがでる程の人気。

今回は話題のグラパンをいただきに平日の14時頃初訪問。
不定休なので事前にお電話で休業日をお聞きするとほぼ営業されているらしく当月はお休みなしとのこと。
メニューのことをお聞きしても丁寧に答えて下さいました。
到着時は丁度満席、お外で15分ほどして店内へ。
お席はテーブルのみの5卓、カウンターキッチンですがカウンター席はありません。
全席喫煙可能です。

スタッフは男性のみでお1人はキッチン、もうお1人はホールのお2人。
少し光量を落とした個人店らしい生活感のある雰囲気で、タオルウォーマーでおしぼりを作られるのもお店の方。
オーダーをとったりお会計をしたりとてもお忙しそうですが、親切に笑顔で対応して下さいます。
この状況を知らずにお電話してしまいましたが、お問合せは時間を見た方がいいかもしれません。

グラパンの種類は大枠で2種、クリームシチューか牛すじシチューがあって牛すじは土日祝のみ。
クリームシチューはエビかハム、そのミックスがあります。
双方ともに単体で850円、ドリンクセットで980円。
ドリンクはコーヒー、紅茶、烏龍茶から選べます。

コーヒーはペーパーではなくネルドリップ、この価格でなかなか見ることがないので思わずお聞きしてしまいました。
オーダーはグラパンのミックス、ドリンクはホットコーヒーです。

グラパン ミックス

10分ちょっとでサーブされました

1斤の中心をくり抜いた中にはクリームシチュー
横も底も同じ割合でカットされているのでかなりの量が入っています
サイドに置かれたパンはカットされた部分です

サーブされた時の湯気は特に見えませんが、それは上にはチーズが敷かれていて蓋となりシチューの熱を逃がさない構造だから
よってチーズをどかすと熱が一気に放出され実は内部は熱々です

食パンの焼きは良くクラストはサクサク、クラムはしっとり

シチューによく浸していただきます

具材はハムとエビ、ベーコン、マッシュルーム、とろとろになった玉ねぎ
シチューは粉っぽさもどろっと感もないさらさら系で牛乳のミルキーさとエビとベーコンの風味も出たお味
ですが具材は味抜けしておらず、エビは長時間煮込んでないので硬くもありません
具材はけっこう下に沈んでいるので掬うようにいただくのがおすすめです

蕩けたチーズと一緒にいただくとシチューにコクが加わりパンにも絡み、思わず笑みが零れる間違えのない組み合わせ
ヴィジュアル先行ではなく、きっちり仕上げられていて誰もがほっとする温かみのある仕上がりです
また、ゆっくりいただいてもシチューのクラムへの浸透はしっとりとなる程度、染み出すことはありません
陶器の代替がパンなので最後まで熱々でした

ワクワクする見た目といただく楽しさがあるグラパン、味から楽しさを伝えるお食事はあまりないかもしれません
可愛さや奇抜さに重点を置いたものはありますがお味は二の次ということ殆ど
ですが、こちらは目新しさや見た目の為に作られた訳ではないので喫茶店らしいシチューの美味しさとパンの焼きの両方が上手くマッチしています
狙ってないからこそ実現できたヴィジュアルとお味の両立なのかもしれません

1食充分相当がありお腹いっぱいになりました

ホットコーヒー

香りはソフト、酸味と苦味のバランスが良く、さらりとした飲み口
ペーパードリップと違いネルドリップの特有の尖りがない円やかさと優しさがあるお味
ネルドリップのお店は少なくなってきていますが、久しぶりに良さを味わえました

懐かしく温かみのあるお味はお店の雰囲気をそのもの。
お食事はお味が一番大事ですが見た目から派生する美味しさというものを強く認識させ、子供の頃に思ったあったらいいなを実現させている老舗喫茶店でした。