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いち太

いち太

星2つ半が平均

その真っすぐな心を伝えるお料理は、全てを凌駕するということを教えてくれます

2014年オープン、外苑前駅から8分程度、1B出口を出て青山迎賓館の程近い小道を入ったところにあるお食事の十割蕎麦が好評のいち太。

店主は佐藤太一さん、30代前半でいち太を開店、2016年ミシュラン獲得。
大木戸矢部出身でお食事として十割蕎麦を出されるのもその特徴を継いでいます。

いち太は以前から知っていたですが、テレビで拝見した佐藤さんの雰囲気が印象深く残っていて今回訪問させて頂きました。

予約の電話対応はとてもよく、コースは13000円、15000円、20000円があるとのこと。
初めてなので20000円でお願いしました。

17:30の開店時間に訪問、店内はヒノキのカウンターに木の温かみのあるシンプルな造り、カジュアル寄り。
店内には絵が2枚飾られていて両方ともガウスがかかっているのはそれを考えてなのか・・・輪郭がしっかりした絵だとそちらに視線がいってしまうほどナチュラルなカラーベースとなっています。

この日のカウンターはご新規のお客様ばかりで店内は静か、佐藤さんへの印象はこれと言って定まっていない感じがしますが、私の受けた印象は非常にストイック、そして寡黙な方。
偶々かもしれませんが、この日は終始他のお客様と会話することも殆どありませんでした。

ただ、お話はなくてもお料理を通じて店主の実直さは伝わってきました。
一番感じたのは佐藤さん自らが焼いてくださった鰻の炭火焼。
一見で女一人で来店した者に対しても、丁寧さと心を伝える焼きで元の素材も良かったですがそれ以上にその隔てない想いが素晴らしかったです。

大将には色々な方が居ます。
楽しい方、癒しをくれる方、頭のいい方、多方面で上手い方。
佐藤さんはそれのどれとも違った印象、正直口が上手い訳でも申し訳ないのですがにこやかという感じでもありませんでした。

ですがその真っすぐ過ぎる程の想いが琴線に触れたならば、人の心を震わすことができる珍しいタイプかと思います。
その綺麗で時より孤高感をも感じさせる雰囲気、これがただ固い方と終わらずその先の心が届けば更に魅了される方は多くなると感じます。

お料理の見せ方は綺麗。器、盛付、どちらかというと女性が好みそう。
おしぼりは頻繁に代えてくれ、トレイが毎回違うという細やかな一面も。
お味は素材を生かすタイプ、素材そのものの強さを引き出すところがありますが、こちらはソフトに引き出します。

仕入れは物によっては鮮度がとても良く驚きます。

食材に頼るということではなく高級食材の方がよりいち太のより良さが見えたので、もう5000円でも上のコースがあったらもっと掴める気がしました。

ドリンクはあずき茶を選択。
香ばしく小豆本来のほんのりした甘さが楽しめました。

 

以下がコース内容です。

 

渡り蟹、キャビア土佐酢ジュレがけ

渡り蟹の内子を生の状態で取り出し塩辛状にしたもの。
そこに大葉とキャビアを乗せています。

渡り蟹、味噌が甘く本来のお味の中、くっきりした酸味が交わりなかなか良いです。
全体的に酢が使われているものはしっかりしていますが、樋渡でいただいた程の強さはありません。

鱧の青のり餡かけ

薄いさくっとした衣に中は熱々のふんわりした甘い鱧。
磯の香りはソフトで塩分は控えめ、優しいお味です。

宮城殻うに

下に塩で味付けされた胡瓜が入っています。
とろっとしたうにに、柚子の香りと適度な塩分でいただきました。

毛蟹真薯のお椀

湯気と共に柚子の香りが立ち込めるお椀。
真薯は甘く、柚子の香りでさっぱり。
出汁は綺麗、語彙力がなく失礼な表現に当たりますが、汚れていない、余計な色が入っていないお味です。

宮城真子鰈

薄造り真子鰈なので、弾力がどれ程感じられるか気になりました。
いただくと、弾力は素晴らしく噛むほどにすっきりした甘みが出てとても美味しいです。
懐石料理というとよく真子鰈を頂きますが、今までで一番良かったです。
良さを生かした切り方でした。

鹿児島出水の鯵 ポン酢のジュレがけ

茗荷、生姜、花穂紫蘇、芽葱が入っています。

鯵はクリアな色、新鮮と鯵本来のライトな甘さが大変美味しく、素晴らしかったです。
茗荷等でにおいを軽減することがありますが、逆に要らないと思わせる程本来のお味が美味しいです。
今までいただいた鯵の中では断トツに良かったです、酢ですっきりいただきました。

琵琶湖天然鰻 備長炭焼き鰻飯蒸し

お酒はふんわり香る程度、もち米も良い固さです。

一番佐藤さんのお料理に対しての実直さが伝わった一皿。
時間をかけ何度もたれをつけて焼いてくださいました。

質はもちろん良く、甘く、柔らかく、ただ少し骨を感じましたが、こちらが一番印象に残りました。
それは質以上に丁寧に優しく焼かれたのが分かったから。
絶妙な火入れ、ふっくら感を出していて甘く、皮からはまったりとした濃厚さが身を纏う様に包みとても美味しく、幸せに感じさせてくれるお味です。

正直質だけですと4月に初音鮨でいただいた物の方が良かったです。
ですが、お料理は素材だけでなくどれだけ丁寧に扱ったのかによるということを再確認させてくれました。

蝦夷鮑 肝醤油

3時間蒸したもの。
芳醇な香りと濃厚さはあるものの濃すぎない肝醤油、優しく素材を楽しむお味。

広島太田川、由良川天然鮎

太田川は2本、蓼酢でいただきます。

太田川の方はわたの苦さ、お味はしっかり、由良川の方がソフトで比べて甘みが少し強かった様に思います。

青森もずく

細めで繊細なもずくさっぱりいただきました。

賀茂茄子と雲丹の炊き合わせ

とろっとした茄子、柔らかな甘みのある炊き合わせ、絹さやがアクセントになっています。

せいろ

お食事として蕎麦をいただくのはひろ作以来。

ひや、かけ、ひやかけが選べ、せいろを選択。
石臼自家製粉の常陸秋蕎麦、十割の手打ちです。

瑞々しさと手打ちらしい強いコシが特徴、程よいえぐみ、シーズンによるのか香りは弱めでした。
ですが、つゆとの相性は抜群でつけると香りが増す様に思えます。

つゆはスタートは甘さがありますが後から辛さもあるくっきりしたお味。

せいろは1回おかわりができます。

終わると佐藤さんが蕎麦湯を作ってくれます。
かなりとろみが強くここまで強いのは玉笑以来でしょうか、もちろん本格的なお味で美味しいです。

さくらんぼ、紅茶プリン

さくらんぼは良い糖度。
紅茶テイストのスイーツは加減が難しいですがなかなか美味しいです。
紅茶の香りと茶葉のバランス、クリーミーであり滑らか。
少しだけ甘みを抑えると更に香りがでるかもしれません。
難易度が高いスイーツですが纏まっていて、紅茶専門店のスイーツでもここまでお味を引き出せるのはあまりありません。

 

ばらつきはありますが、素材の良い物は突出して良いです。
温かみのあるお味で自分の色を出すというより素材を大切にしていらっしゃいます。

最後にお見送りをして頂きました。
月並みにお蕎麦の感想しか言えず・・・・心のこもった鰻飯蒸し大変嬉しくいただきました。
私は食材のことについてもお話を伺いたいタイプなので、通ってもう少しお話ができるようになれればと思います。

DETAIL DATA

ico

アクセス、営業時間など

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